動画配信の普及を加速させる方法

   

コロナ対応として、9月入学へ移行することが前提となった議論が進んでいることを私は危惧しています。そもそも、コロナ対策であるならば、オンライン授業の推進が密を防ぐ唯一無二の対策です。9月入学にしても再度休校となれば、更に授業期間が延期されて4月入学(1年間の強制留年)になるリスクも有ります。

そもそも、オンライン授業は双方向である必要はありません。教師が教科書を解説した動画を配信してくれれば十分です。通信設備が無い家庭にはUSBやDVDで配れば良いだけです。課題プリントを配布できるならそれくらいのことは出来るはずです。

そこで、本投稿ではオンライン授業が進んでいない理由について調べ、私なりに原因と解決策についてまとめています。

結論は以下の通りです。

  • 動画配信する際の最大のネックである著作権問題は対応済み
  • 現場の教師にやる気が無い(やる能力が無い)のが動画配信が進まない最大の理由
  • 文科省が現場教師達に動画配信の業務を義務付ければ一気にオンライン授業(動画配信の意)が普及する。家庭に2.5兆円の追加負担をさせて9月入学へ変更する必要も無くなる
  • 国や文科省は動画配信によって教育システムを効率化させるつもりは無い。既得権益の反発があるものと推察される

オンライン授業(双方向ではなく動画配信の意)は簡単に対応できるはずです。この対応を怠り半年間強制留年させる9月入学の導入に、私は強く反対します。

以下順を追って説明します。

著作権の対応状況

急ピッチで対応が進められた著作権法ですが、現状は以下の通りです。

  • 教科書等の著作物を使って動画配信する場合、本来は著作権者に対して使用許可を取り、使用料を支払う必要がある。しかし、教科書の著作権は出版社が持っているものもあれば、教科書内で使用されている図、文学作品の一部等はその作者等が著作権を持っている場合もある。そのため、使用許可や使用料支払いの手続きはとても煩雑
  • この問題を解消するため、著作権法第35条で手間がかからない手当てがなされた。教師が授業の一環として自分の生徒に対して教科書等の著作物を使用して動画配信する場合、サートラスに使用料(補償金)を支払えば無許可で使えるようにした。2020年度はこの使用料を無料とした。尚、サートラスは文化庁長官の許可を得た上で使用料(補償金)を決定できることが著作権法で定められている
  • 自分が担当していない生徒に対して動画配信は出来ない(著作権法第35条の適用外となり、著作権者へ使用許可や使用料支払いが必要となる)
  • 例えば、2つの中学校の教師が協力し合って解説動画を作成した場合、それぞれが自分たちの生徒に限って動画配信する場合は問題ない(著作権法第35条が適用される)
  • 絵本の読み聞かせはNG(著作権法第35条は適用されない)。絵本は教科書と違って生徒/児童が絵本を購入しておらず、動画配信によって絵本の販売に影響が出てしまうことを背景としていると思われる(著作権者の利益を不当に害することとなる)

著作権に関する今年度の課題と解決策

今年度の課題

著作権法第35条では、教師自身が担当している生徒に対してしか動画配信が出来ないので、動画を作成する能力の無い教師は、同じ教科書を使っている他の教師が作った動画を転用することが出来ません。更に、学校の教師以外でも動画作成に優れた人材(塾講師)もいますが、そういった人材を活用することも出来ません。更に、同じ教科書を使っている全国の生徒が、全国で一番優れた解説動画を見ることも出来ません(その解説動画を作った教師の生徒でないため)。折角動画を作っても、使える場面が対面式授業と変わらず、かなりの非効率を強いる制度となっています。

解決策

そこで、検定教科書については著作権を認めない条文を著作権法に定める対応が考えられます。出版社は本の出版で稼ぐビジネスモデルであるはずなので、出版権のみ担保すれば彼らのビジネスへの影響は許容範囲内ではないでしょうか。

そもそも、「教育」の場で使用する検定教科書に関する著作権を、他の著作権(映画、写真、小説、漫画等あらゆるもの)と一律の法律(著作権法)で定める必要性は無いとも考えられます。

著作権に関する来年度以降の課題と解決策

来年度以降の課題①

法令を素直に読むと、教科書の解説動画であっても、来年度以降は著作権使用料(補償金)がかかってしまいます。そうなると、教師たちにとってみればわざわざ使用料のかかる動画配信をするインセンティブがなくなり、対面式授業に戻ってしまうことになります。

また、著作権使用料(補償金)は、著作権者の経済的損失額が考慮されるはずです。この様に考えると、もし、オンライン授業対策として教科書出版会社が解説動画を急ピッチで制作し販売し始めた場合、来年度の著作権使用料(補償金)が莫大な金額になるリスクがあります。民間企業がコストをかけて動画制作に手を付けて産業を作り出してしまう前に政府として手当てしなければ、大きなコスト(税金)を投じる必要性が懸念されます。

(私が調べた限りでは、出版社が教科書の解説動画を販売するビジネスはこれまでやっていませんでした。もし、私が出版社の経営者なら、動画解説ビジネスを即座に開始し来年の使用料算定の交渉に活用すると思います)

解決策①

検定教科書については著作権を認めない条文を著作権法に定める対応が考えられます。そもそも、対面式授業で教科書を使用することに著作権使用料がかからないのに、解説動画で教科書を使った場合は使用料を払わなければならないという制度設計は不合理だと考えます。更に、著作権第35条改正の趣旨として「文学作品、論文、新聞記事、写真などの著作物」の使用を想定している旨が説明されています。そうであるならば、教科書は明示的に使用料がかからないことを法令等で示すべきだと思います。

次善の策としてはサートラスが検定教科書については未来永劫使用料を無料することを公表することでも対応可能です。

来年度以降の課題②

著作権法第35条は、動画を作った教師本人が担当している生徒に対して、授業の一環として使用する場合のみ許容されます。そのため、今年作った解説動画を、来年度に他の教師が担当している一つ下の学年に使用させることは出来ません(個別に著作権者の許諾や使用料支払いが必要)。これは余りにも非効率的です。

著作権法第35条の趣旨として、対面式授業で使用する代わりに動画配信するため、動画配信できる権利としては担任が教えている生徒に限られるというロジックだと思われますが、これでは行き過ぎた著作権者の保護であり、使用者の利便性を著しく損ねています。

解決策②

検定教科書については著作権を認めない条文を著作権法に定める対応が考えられます。次善の策として、検定教科書については、著作権法第35条の「自分の生徒に対して」という制約条件を緩和することも考えられます。

著作権法改正でも既得権益は保護されている

以上、動画配信する際に法的たてつけを整理しましたが、かなりお粗末と言わざるを得ません。解説動画が生徒だけしか見られないのは非効率的です。一般家庭に安価なビデオカメラが普及している時代であるにもかかわらず、同じ内容を教えるのに何千人/何万人という教師たちが、同じ授業をひたすらやっている姿を想像すると、日本の先行きが心配にすらなります。

著作権の法改正は動画配信型のオンライン授業(双方向ではなく動画配信の意)が絶対に浸透しないように設計されています。これは国益に反する行為です。著作権法の改正は国会で出来るのに対応していないのは、既得権益の反発等があったと推測せざるを得ません。マスコミの皆さんには、是非この穴だらけの制度改正について追及して頂きたいです。

オンライン授業の導入が進んでいない背景

以上見てきたように、教師が自分の生徒に対して教科書の解説動画を配信することについては、制度が整っています。それにもかかわらず、何故オンライン授業(双方向ではなく動画配信の意)が進まないのでしょうか。各種報道等で私なりに原因を調べました。主な理由は以下の通りです

  • 学校側が双方向型のオンライン授業は設備の問題で対応できないという説明に終始
  • 通信環境の無い家庭もあり、それが不平等となるという理屈でオンライン授業を行わない
  • 教師たちに動画配信対応をするやる気/能力が無い
  • やる気/能力がある教師がいても、そのクラスだけスタンドプレーに走れない
  • 対面式授業にこだわり、強硬に反対する教師の存在
  • 課題プリント配布で十分だという意見がはびこっている
  • 教育委員会が情報漏洩などセキュリティのハードルを上げているため学校側が動けない
  • 埼玉県の知事と教育長は、「全県立高校で授業動画配信を開始」と発表したが、虚偽である可能性あり(出典は埼玉新聞、知事のTwitterでの書き込み)。教育委員会もしくは教育現場がもみ消している可能性有があり、文科省に問題の所在が正しく伝わっていない

通信環境の無い家庭への配慮という説明がありますが、それならDVDに焼いて渡す方法だってあります。DVDでも対応できない家庭は少数だと思いますので、その家庭に限り収録現場での授業を許容したり、学校の視聴覚室で動画を見られるようにしたりする方法もあります。そもそも、多くの生徒が教育を受ける権利が侵害されているのに、その影響を最小化するための努力をしないのは如何なものかと考えます。

文科省に正しい情報が入っていないリスクも一定程度考えられますが、これだけ動画配信すら進んでいないという情報が流れているので、その事実すら把握していない可能性は低いと思われます。

この様に考えると、「給料も変わらないのに不慣れな動画配信に時間を割きたくない。ただでさえ忙しいのに」と考えている教師たちをどう動かすのかが解決策になると思います。

オンライン授業の導入を進める方法

ではどうすればよいのでしょうか。休校中でも教師たちは学校に行って多忙な業務をこなしています。しかし、教師たちに求められている役割として「授業をやる」ことの優先順位は極めて高いと私は考えます。各種報告書を作ったりといった業務は、ちゃんとした「授業をやる」ための手段でしかありません。

教育現場が何故こうなっているのか理解に苦しむのですが、コロナ対応が無い平時に教師が対面式授業をしないのは懲戒免職ものだと思います。しかし、今回の様な緊急時に動画配信対応しなくても責められないのは何故なのでしょうか。職務規定やオンライン授業促進ルールに不備があると言わざるを得ません。

そこで、文科省が動画配信の優先順位を必須業務と定める通知を各教育委員会にする方法が考えられます。もちろん、オンライン授業で対応している学校はそれで代替して良いという意味です。必須業務になれば「やらない理由を考える」から「やるためにはどうするかを考える」に変わります。

授業が受けられずに日々不安を抱えている生徒達を、本当に安心させてあげられるのは先生方です。みなさんが授業を再開することが生徒たちの安心に繋がります。

文科省の方々、現場の先生方は是非動画配信の推進をご検討ください。

(関連投稿)

オンライン授業の論点整理 ~導入の障害と解決策~

9月入学が憲法違反になる可能性の検証

9月入学の導入を防ぐ4つのアイデア

ご参考:関連法令等

改正著作権法施行に伴い「授業目的公衆送信補償金制度」が2020年4月28日にスタートしました。教育のICT化が進む中で著作物の円滑な利活用を促し、教育の質の向上を図ることを目的とした制度です。この制度が円滑にスタートし、学校現場で有効に利用されますよう、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

この制度がスタートすると、教育機関での授業で教員が文学作品、論文、新聞記事、写真などの著作物を児童・生徒の予習・復習などのためにインターネットを利用してメール等で送信することが、無許諾で可能になりました。

従来は、紙での配布は無許諾で可能でしたが、インターネット利用の送信では、原則として著作権者の許諾を得ることが必要でした。制度がスタートしたことで、著作物の利用時の教育現場の負担が大きく減りました。

出典: 「授業目的公衆送信補償金制度」の概要 一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(略称 SARTRAS)より一部抜粋

 

問2 新たに対象となる「公衆送信」についてだけ補償金の支払い義務が課されているのは、なぜでしょうか。

(答)

  1. まず、複製機器の発達・普及に伴って、教育現場で著作物の高品質なコピーが大量に行われている現状に鑑みると、現行著作権法制定時(1970 年)の状況に鑑みて無償とされた著作物の「複製」についても、権利者が受ける不利益を補償する必要性が認められるとの見解があります。
  2. 一方で、これまでずっと無償とされてきた「複製」まで補償金の対象とすると、教育現場に混乱が生じることが懸念されたことから、平成30年の著作権法改正では、「複製」は従来通り無償としつつ、新たに対象となる「公衆送信」について補償金の支払い義務を課すこととしました。なお、デジタル・インターネットでの利用については、紙でコピー・配布する場合のような物理的な制約がないため、権利者が受ける不利益が拡大する可能性が大きいという事情もあります。

問6 誰もが見られるウェブサイト上に、教材や授業動画をアップロードすることはできますか。また、学校間で教材の共有をすることはできますか。

(答)

  1. 権利者から許諾を得ない限り、授業を受ける児童生徒等に限定して配信する必要がありますので、誰もが見られるウェブサイト上にアップロードすることはできません。なお、例えば、YouTubeを活用する場合、「非公開」や「限定公開」という設定を行うことによって受信者を限定することができます。
  2. また、この制度は、あくまで個々の教員が自らの授業のために教材等を作成・配信することを認める制度ですので、学校間での教材の共有はできません。なお、この制度とは別途、権利者団体においては、学校間での教材の共有にも対応した包括的なライセンス(許諾)について検討されています

問9 外国の著作物や、JASRACなどの権利者団体に加入していない者の著作物も利用できるのでしょうか。

(答)

この制度では、法律上、全ての権利者の権利を制限して、一定の要件の下で許諾なく利用できるようにしています。このため、外国の著作物や権利者団体に加入していない者の著作物も利用することができます

問11 令和3年度以降、この制度はどうなるのでしょうか。

(答)

  1. まず、当然ながら、この制度は、令和2年度限定のものではなく、令和3年度以降も継続していくものです。
  2. 一方で、補償金額については、令和2年度に限って特例的に無償(0円)となっているものですので、令和3年度からは原則通り有償となります。具体的な金額については、今後、教育機関の設置者を代表する各団体からの御意見を聴いた上で、文化庁が指定した「一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)」が案を作成し、文化庁の認可を受けることになります。

出典: 平成30年著作権法改正による「授業目的公衆送信補償金制度」に関するQ&A 文化庁著作権課 2020年4月24日より一部抜粋

 

Q. 教科書関連(ここでいう「教科書」は、初等中等教育における検定教科書のことです)教科書および指導用教材(紙面・画面・映像・音声)を用いた(紙面や映像等を映す、スライドを映す、音声を聞かせる、音読する)授業を撮影した動画を配信したいのですが、著作権者等の許諾が必要ですか?できる場合、何に注意すればよろしいですか?指導用デジタル教科書はいかがでしょうか。(旧質問番号2-7)

A. 著作権者等の許諾を得ないでできる著作権法第35条の対象となる動画の配信は、授業が行われる単位の児童生徒への配信に限られます。補償金制度の下では、授業を撮影した動画に教科書に掲載されている著作物が映ったり、指導用教材の音声や映像等が入ったりしても、通常の場合は大丈夫です。先生が教科書を掲げる、読み上げる、パワーポイントのスライドに埋め込むなど、当該授業の過程でその目的の範囲であれば利用の方法は問いません。

指導者用デジタル教科書も指導者用デジタル教材も指導用教材の一種ですので、同様の利用方法が可能です。なお、学習者用デジタル教科書については、当該児童生徒分を購入していれば、同様の利用方法はもちろん、著作権法第33条の2により、児童生徒に対して直接配信することも可能です。いずれの場合も詳細は運用指針をご覧ください。

 

Q. 町内にある2つの中学校で協力して動画教材を製作することを計画しています。その時、2つの中学校の同じ教科の先生が協力して製作したものをそれぞれの中学校で自分が担任する生徒に配信して授業を受けさせる場合、著作権者等の許諾が必要でしょうか。

A. 両中学校において、自分が担任する生徒に配信して授業を受けさせる目的で、各先生が実質的に製作に関与し、協力して製作した教材であれば、著作権者等の許諾を得なくても、それぞれの先生の担任する生徒に配信することはできます。ただし、製作した教材の中で、教科書・教師用指導書・指導用教材(指導者用デジタル教科書を含む)・生徒用教材に掲載されている著作物を利用する場合は、両方の中学校において、それらが本来あるべき態様で購入等がなされている必要があります。なお、同一校内の先生方が協力して教材を製作する場合、もしくは複数の学校の先生方が協力して教材を製作する場合を問わず、教材の製作に実質的に関わった先生以外の先生と当該教材を共有する場合は、著作権者の許諾が必要となります。

教材を製作した先生が、当該授業を担任することが要件となります。実質的に教育委員会や教科研究会が主導して教材を製作して、所属している先生方が利用するような場合は、著作権法第35条の要件を満たさないため、著作権者の許諾が必要です。なお、新型コロナウイルス感染症対策による休校期間の学習のための教育委員会等の組織が主体となった著作物利用については、著作権者が特別の配慮をしている場合もありますので、関係の著作権等管理事業者等にお問い合わせください。

 

Q. 私が担任する児童生徒向けに絵本やパネルシアターの読み聞かせを撮影した動画を配信したいのですが、できますか?出来る場合、何に注意すればよろしいですか?

A. 運用指針では、絵本に収録された一つのお話しの文と絵の「小部分」であれば補償金制度の対象としています(パネルシアターや紙芝居も同様と考えられます)。しかし、いつでも何度でも園児や生徒が見られる状態に絵本のお話しの絵と文の「すべて」の読み聞かせ動画をアップしてしまいますと、著作権者の利益を不当に害する可能性が高く、制度の対象外となると考えられます。このため、お話しの絵と文の「すべて」の読み聞かせを配信されたい場合には、必要な権利者の許諾を得て行ってください

なお、初等教育(幼児保育を含む)において、ウェブを用いたストリーミング授業で、あなたが担任するクラスの児童生徒にだけ、同時送信して読み聞かせを行うだけであれば、一つのお話の絵と文のすべてを読み聞かせることは、制度の対象と考えられますが、著作権者の利益を不当に害する場合は利用できないので、著作権者あるいは出版社にご確認ください。生徒がアクセスできるサーバーにアップロードしておいたり、添付ファイルで生徒に送信することは、著作権者の利益を不当に害するケースに当たり、制度の対象外になります(権利者の許諾が必要です。)。

出典: 2020年度補償金制度利用に関するFAQ 一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(略称 SARTRAS)より一部抜粋

 

Q1. 教科書利用の許諾申請を教科書著作権協会に提出すれば、すべて対応してもらえますか?

当協会では、会員の教科書発行者から著作権管理の委託を受け、教科書利用についての許諾申請の審査や、「使用料規程」に基づいての使用料徴収などの業務を行っています。ただし、教科書中の著作物でも、文学作品、楽曲、写真、イラスト、地図などで教科書発行者が権利を保有していない著作物については、別途これらの著作権者の許諾が必要となります。

また、教科書発行者から当協会が管理委託を受けていないものについては、当協会では許諾することができません。その場合は、直接教科書発行者への許諾申請が必要になります。

Q2. Q1で「教科書発行者が権利を保有していない著作物」とありますが、そのような著作物についてはどのようにすればよいでしょうか?

それぞれの著作物に応じて、さまざまな著作権者や著作権を管理する団体があります。許諾申請につきましては、当協会で調査のうえ申請先をお知らせしますので、教科書発行者が権利を保有している著作物と同様に申請してください。

Q4. 教科書を利用した教材をWeb上で公開することは可能でしょうか?

公衆送信(放送、有線放送、インターネットでの配信、など)による利用の許諾申請が増えてきています。現時点においては、許諾の可否およびその使用料を当協会のみで決定することはできませんが、教科書発行者との窓口の役割を果たしていますのでご相談ください。

なお、著作権法第35条の要件を充たす方法で、学校等が授業の過程において公衆送信利用をされる場合は、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(略称SARTRASサートラス)が窓口となりますので、SARTRASへご相談ください。

出典: 教科書利用のためのQ&A 一般社団法人教科書著作権協会より一部抜粋

 

著作権法

(学校その他の教育機関における複製等)

第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

2 前項の規定により公衆送信を行う場合には、同項の教育機関を設置する者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない

3 前項の規定は、公表された著作物について、第一項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合において、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信を行うときには、適用しない。

 

(授業目的公衆送信補償金を受ける権利の行使)

第百四条の十一 第三十五条第二項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第百四条の十三第二項及び第百四条の十四第二項において同じ。)の補償金(以下この節において「授業目的公衆送信補償金」という。)を受ける権利は、授業目的公衆送信補償金を受ける権利を有する者(次項及び次条第四号において「権利者」という。)のためにその権利を行使することを目的とする団体であつて、全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するもの(以下この節において「指定管理団体」という。)があるときは、当該指定管理団体によつてのみ行使することができる

2 前項の規定による指定がされた場合には、指定管理団体は、権利者のために自己の名をもつて授業目的公衆送信補償金を受ける権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。

第百四条の十三 第百四条の十一第一項の規定により指定管理団体が授業目的公衆送信補償金を受ける権利を行使する場合には、指定管理団体は、授業目的公衆送信補償金の額を定め、文化庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の認可があつたときは、授業目的公衆送信補償金の額は、第三十五条第二項の規定にかかわらず、その認可を受けた額とする。

3 指定管理団体は、第一項の認可の申請に際し、あらかじめ、授業目的公衆送信が行われる第三十五条第一項の教育機関を設置する者の団体で同項の教育機関を設置する者の意見を代表すると認められるものの意見を聴かなければならない。

4 文化庁長官は、第一項の認可の申請に係る授業目的公衆送信補償金の額が、第三十五条第一項の規定の趣旨、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)に係る通常の使用料の額その他の事情を考慮した適正な額であると認めるときでなければ、その認可をしてはならない。

5 文化庁長官は、第一項の認可をしようとするときは、文化審議会に諮問しなければならない。

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