9月入学の導入を防ぐ4つのアイデア

      2020/05/20

コロナ対応として9月入学への移行が与党でも議論されるようになりました。強制留年を伴う9月入学への移行に私は反対の立場です。この投稿では、9月入学の導入を防ぐアイデア、9月入学ではコロナ対応にならない理由、オンライン授業の導入が進まない背景、9月入学に賛成が多い背景、について私なりに考察しました。

ハッシュタグも準備しましたので、賛同いただける方は以下をご利用ください。

#9月入学反対です強制留年は憲法違反

#9月入学反対です飛び級導入が先

#9月入学反対です損害賠償請求します

目次

9月入学の導入を防ぐ方法

9月入学により強制留年させられることを防ぐ方法を私なりに考えました。以下4つの手法を紹介させて頂きます。

高卒認定の活用

これは高校生しか使えない手ですが、9月入学が導入された場合、高卒検定を取得し高校3年の3月に学校を中退し、春入学をやっている大学に半年飛び級で入学するというやり方があります。このようにすれば、高校生活はしっかりと3月まで謳歌でき、かつ強制留年も回避できます。高校生の飛び級は現行制度上、認められています。もちろん、春入学を継続している大学を探す必要があります。大学としては少しでも優秀な学生を囲い込みたいという思惑があり、且つこれまで春入学を前提として運営をしていたので、国全体で9月入学を導入したからといって、従来の春入学をわざわざ無くすようなことはしないと考えられます。自衛手段の一例として参考にしてください。

強制留年が憲法違反であることをアピール(#9月入学反対です強制留年は憲法違反)

半年間の強制留年は憲法違反である可能性があります。憲法第26条第1項で「能力に応じて」教育を受ける権利があると定められています。強制留年させられると自分の能力よりも半年遅れた授業を受けさせられることになり、憲法の趣旨に反するという理屈です(詳細は9月入学が憲法違反になる可能性の検証をご覧ください)。

そこで、違憲であることをTwitter、LINE、ブログ等あらゆる手段を駆使して世の中にアピールし、広く認知させます。そして、賛同する弁護士や憲法学者が出てくれば訴訟が起こされる可能性が高まります。憲法改正は国民投票が必要であり、通常の法改正のように国会の承認では出来ません。そのため、違憲の可能性が出てくれば、9月入学を推している政治家の動きを封じることが出来ます。

この考え方に賛同いただける方は「#9月入学反対です強制留年は憲法違反」でのツイートをお願いします

飛び級が禁じられているのは憲法違反であることをアピール(#9月入学反対です飛び級導入が先)

上述した様に憲法では「能力に応じて」教育を受ける権利が保障されていますが、学校教育法では義務教育は15歳まで受ける義務があると定められており、学年も能力に関係なく年齢でほぼ自動的に進級します。本来は同じ年齢でも能力には個人差がかなりあるので、飛び級を禁じている学校教育法は憲法違反とも考えられます。しかし、日本では「同じ年齢の子は同じ能力である」という考え方(これを年齢主義と言います)を採用しており、それが今日まで合憲であると認められてきたものと思われます。生徒一人一人の能力に応じた教育を受けさせるためには、生徒一人につき教師一人をつける必要があります。これはコストがかかりすぎ実現不可能であるため、年齢主義が許容されていたのだと推察されます。

しかし、IT技術が発達した昨今、オンライン授業(対面式ではなく、収録された解説動画配信の意)を活用すれば、集団教育を廃止し一人一人のレベルに合わせた授業(動画視聴)が可能です。このように考えると、飛び級を禁止している学校教育法は違憲であると言える可能性が出てきます。違憲の可能性を世の中にアピールしておけば、9月入学導入の法改正に合わせて、飛び級導入も実現しやすくなります。

この考え方に賛同いただける方は「#9月入学反対です飛び級導入が先」でのツイートをお願いします

生涯賃金減少に関する損害賠償請求(#9月入学反対です損害賠償請求します)

多くの日本企業では定年が定められています。年度末が定年の場合もあれば誕生日が定年の場合もあります。法律では、定年は最短でも60歳の誕生日以降とするように定められています。9月入学により半年間の強制留年となれば、働ける期間が半年短くなってしまいます。その損害額は合理的に試算できるため、国に対する損害賠償請求が可能だと考えられます。

私の試算では、男性は171~286万円、女性は101~286万円の損害賠償請求が可能です(詳細は9月入学が憲法違反になる可能性の検証をご覧ください)。

損害賠償請求する意思をもった学生の数が増えるだけで、その補償も予算に組み込む必要が出てくるため、政治家は9月入学の導入に動きづらくなります。

この考え方に賛同いただける方は「#9月入学反対です損害賠償請求します」でのツイートをお願いします

9月入学で解決できるという幻想

休校が長引いた場合に必要な授業時間を確保できなくなることを防ぐために9月入学に変更することを検討しているというのが本来の趣旨です。

では、一度コロナが落ち着き、9月から学校を再開した後、またコロナが感染拡大した場合は4月入学に移行する(正味1年間の強制留年)ことになるのでしょうか

コロナによる授業の遅れに対応する手段は、オンライン授業でしか成し得ません。この点を政府やマスコミが報じないことに私は疑問を感じています。

オンライン授業が進まない理由

休校中に勉強を進める対策としてオンライン授業の導入を日本全国急ピッチで進めていることと存じます。まず強調しておきたいのが、スカイプやWebExのように双方向で会話できるようにする必要は無いということです。教科書の内容を解説した授業を収録し、その動画をアップロードしさえすれば対面式授業の代替になります。皆さんも自分が学生だった頃を想像してみて下さい。教師が一方的に説明するだけで、生徒が教科書の理解を深めることは可能です。生徒側が発言するのは、生徒の集中力を持続させるために教師が発言させるというものが大半だと思います。

解説動画のアップロードだけなら、殆ど準備に時間はかかりません。制度上の制約であった著作権問題は既に対応済みなので、現状動画のコンテンツがそろわない道理はありません。しかし、現実問題として動画コンテンツが普及しているとはとても思えません。私が調べた限りでは、独自の参考書を解説した動画をアップロードしている自治体はいくつかありましたが、教科書を解説した動画をアップロードしている自治体は一つも確認できませんでした(4月23日時点の調査)。

何故、これほどまでにオンライン授業(動画配信の意)が進まないのでしょうか。私の仮説は既得権益の反発です。オンライン授業が進めば教師の数を大幅に削減できることに世間が気付いてしまいます。世間からの指摘を受け教員の数が減れば文科省の天下り先のポストも当然減ると思われます。教員を養成する学校も再編/閉鎖を余儀なくされます。現役教師たちも自分たちよりもはるかに能力の高い授業動画を配信されてしまい、立場が危うくなることが考えられます。様々な「既得権益」があるため、遅々としてオンライン授業が進まないのだと私は考えています。著作権の問題がほぼ片付いているので、文科省が動画アップロードの細かいガイドラインを完成させるだけで、直ぐにコンテンツはそろうはずなのですが、そうならないのは何故なのでしょうか。

9月入学の代替案

そもそも、「休校中に勉強が不十分で残りの期間で今年度の履修内容を消化しきれない。だから9月入学で半年留年させるのが良い」と主張する生徒は、自主留年すれば良いと考えます。それなら現行の法令を一切変える必要が無く、9月入学に反対の生徒が強制留年させられることもありません。新小学1年生の人数が1.4倍になることもありません。自主留年することによる費用は政府が補償すれば良いだけです。

基本的にはオンライン授業(双方向ではなく動画配信の意)を進めれば良いと考えます。詳細はオンライン授業の論点整理 ~導入の障害と解決策~に纏めましたので興味のある方はご覧ください。

9月導入の賛成が多い背景

コロナによる授業の遅れをカバーするのは、動画配信で十分なことは誰にでも容易に想像がつくと思います。では、何故9月入学という話が盛り上がっているのでしょうか。私なりにそれぞれ属性について背景を考えてみました。

国会議員が賛成している背景

9月入学によって不利益を被るのは、強制留年させられる学生、学年が1.4倍に増える未就学児の親等であり、人口構成比で考えると少数派です。本来、国会議員は国益を重視すべきです。進級できる能力がある学生も留年に巻き込むやりかたは国益に反していますが、少数派の意見なため国益を軽視してでも多数派の票を取りに行くというインセンティブが国会議員に生じてしまいます。シルバー民主主義と同じ仕組みです。

知事が賛成している背景

9月入学で半年間強制留年させられる学生達が損害賠償を求めて裁判を起こしたとしても、それは国が対応することになります。法令等の制度変更対応も国の仕事です。外出自粛要請を解除する権限は国ではなく知事が持っています。当然、権限があるということはそれによって生じる損失についても責任を負います。学生たちが9月まで休校してくれれば、外出自粛要請を解除しても休校中のため外出を控えることが予想されます。当然、その分コロナが広がるリスクが低減します。

更に、オンライン授業の導入が進んでおらず9月入学が導入されれば、その対応が出来ていなかったことの責任を隠ぺいすることが出来ます。そもそもビデオカメラが1台あれば対応できる動画配信すら普及していません。このまま3月で進級/卒業になてしまうとこのことが白日の下にさらされてしまいます。

つまり、知事たちにとってみれば9月入学は自分たちの責任が低減するメリットの方が際立っていると言えそうです。

文部科学省が賛成している背景

文科省の官僚はとても頭が良く、どういった方法が国益に資するのかが分かっているはずです。しかし、彼らは公務員であり、政治家や文部大臣から指示が出されれば、それをどう実現するのかという働き方をせざるを得ない構造になっています。また、オンライン授業が普及した場合、教師の数を大幅に減らすことができるはずです。人の数が減れば当然文科省が天下りできるポストも減ってしまいます。それは文科省の官僚としても避けたいはずなので、オンライン授業の普及を抑制するインセンティブが働いてしまいます。

世論が賛成多数の背景

既に述べましたが、9月入学で強制留年させられるデメリットを被るのは、現役の学生と、小学一年生の時に人数が1.4倍になる年長の児童等に限られます。日本の人口構成比で言うと少数派なので、アンケート調査をしても賛成多数となるのは当然です

最後に

オンライン授業(双方向ではなく動画配信の意)の方が、一流の教師が解説している動画を全学生が見られるようになるため、今の対面式授業よりも平等な教育機会が提供されます。

著作権対応もほぼ整ったので動画の準備は一週間程で出来るはずです。対面式授業にこだわる必要はまったくありません。自分で勉強している学生たちを強制留年させ、自習を自主的に出来ない学生達に合わせるようにするのは、結果の平等であり共産主義の考え方です。私たちに与えられるべきなのは機会の平等であるはずです。強制留年を伴う9月入学の導入は、合理性も無く私は強く反対します。

 - 教育

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