シャープパワーとは ~中国、ロシアの事例紹介~

      2018/10/17

米国の大統領選で、ロシアがフェイクニュース等を駆使してトランプ氏の当選を後押ししたという疑惑が報じられるようになりました。こういった力のことをシャープパワーと言い、ロシアに限らず中国でも様々な工作活動により、自国に有利になる様に各国に働きかけを行っている様です。

この投稿では、このような中国やロシアによるシャープパワーの事例を紹介いたします。

 

シャープパワー、ハードパワー、ソフトパワーとは

ハードパワーとは、軍事力や経済力のことを言い、他国を力ずくで従わせる力のことを意味します。軍事力を行使して他国へ侵略する力もハードパワーですし、経済制裁や経済援助で他国を自国になびかせる力もハードパワーと言います。

ハードパワーの対極にあるのがソフトパワーです。ソフトパワーとはその国の文化、政治的価値観の魅力によって他国を自国になびかせる力のことを意味します。

例えば、アメリカは黒人などへの人種差別問題を抱えており、これによってアフリカ諸国に対するソフトパワーが損なわれたと言われています。日本のアニメやマンガは世界的にファンがおり、親日を増やすことに一役買っているかと思います。これもソフトパワーと言えます。

クリントン政権下で国家安全保障会議議長、国防次官補を歴任し、ハーバード大学大学院ケネディスクールの学長も務めたジョセフ・ナイ(Joseph Samuel Nye Jr.)氏がソフトパワーという概念を提唱したと言われています。

ハードパワーとソフトパワーの中間に位置付けられるのがシャープパワーです。シャープパワーとは、武力は用いないがフェイクニュース等の不正手段を用いたりして海外の世論を操作し、他国が自国になびくようにする力(工作活動)のことを言います。

ソフトパワーは受動的な側面がありますが、シャープパワーは能動的に他国に干渉する点が決定的に異なります。

この考え方は、全米民主主義基金(National Endowment for Democracy)の研究分析担当副会長クリストファー・ウォーカー(Christopher Walker)氏が同基金のサイトに“Sharp Power: Rising Authoritarian Influence”を発表しこの議論を先導しています。

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シャープパワーの事例紹介

シャープパワーの怖い点は、私たちが気付かない内に国の利権が奪われていくことにあります。

以下に中国とロシアの事例について一部紹介いたします。

出典となる記事も「(ご参考)関連報道」に記載しているので、適宜ご覧頂ければと存じます。可能な限り信頼性の高い機関による報道からの抜粋を試みています。

 

中国のシャープパワーに関する事例

  • 2017年12月、オーストラリアの野党のサム・ダスチャリ(Sam Dastyari)上院議員が、中国から資金を受け取り、中国の南シナ海での領有権主張を支持するような発言をしたという疑惑から辞職
  • 2017年6月、オーストラリアの2大政党が中国共産党とつながりをもつ富豪2人から約10年間にわたり、巨額の献金を受け取っていたことが判明
  • 2017年9月、ニュージーランドの現職国会議員である楊健氏が中国のスパイ容疑で、同国情報機関の捜査を受けていると報じられた
  • ドイツでは、中国がビジネス向け交流サイト「リンクトイン」を使い、政治家や政府高官に人材スカウトやシンクタンクの研究員のふりをして近づき、彼らに無料の旅行などを提供し、取り込もうとしていると報じられた。2017年12月、ドイツ政府は中国がカネを使ってドイツの政治家や官僚を取り込もうとしていると非難した
  • 中国の民主化を訴えた活動家である劉暁波氏にノーベル平和賞を授与したノルウェーに対し、中国はノルウェー産サーモンの輸入を大幅に制限する等の激しい経済的報復を与えた
  • 2017年6月、EUが中国の人権侵害を批判する声明を採択しようとした際、ギリシャは中国企業が同国のピレウス港への出資を決めた直後だったため拒否権を発動し、同声明の採択が見送られた
  • 中国の外交官は、赴任先の国のアジア専門家に電話をしては、「今晩うちの大使がお話をしたいと言っている」と言い張り、日本関係の催しへの出席を妨害するなどしている
  • 中国が主張する南シナ海のスカボロー礁の領有権にフィリピンが異議を唱えた際、健康へのリスクを理由に同国からのバナナの輸入を止め経済制裁を課した
  • メルセデス・ベンツは流線型フォルムをした自社の高級モデルを紹介する写真に、「あらゆる角度から状況を見れば、もっとオープンになれる」というダライ・ラマの言葉を添えてインスタグラムに投稿した。共産党系の環球時報が直ちにこれを批判した。その後、メルセデス・ベンツは投稿を削除した後、ソーシャルメディアの微博で「ひどく誤った情報」が含まれていたとし、「この件が中国における当社の社員を含む中国国民の感情を傷つけたことを十分に理解している」と謝罪した

 

ロシアのシャープパワーに関する事例

  • ロシア語を話すドイツの女性が行方不明になり難民たちにレイプされた事件を隠蔽したとして、ロシア政府がドイツ政府を非難した。ドイツ警察は少女はレイプされていないと主張したが、ドイツ在住のロシア人たちによる激しい抗議運動が起きた。その後、この暴行事件は少女の作り話だったことが判明した

 

最後に

欧米や日本の様な民主主義国家は、言論の自由があるが故に、フェイクニュース等の工作活動を防ぐ手立てが限られてしまうという弱点もあります。

以下の日経新聞(FT)の記事にもある通り、民主主義国家は権力の座にふさわしくない指導者を自由で公平な選挙を通して退陣させられるというすばらしい仕組みだと私は思います。そして、この民主主義の制度を正しく機能させるためには、私たち一人一人が、選挙で誰に投票するべきかを正しい情報をもとに判断することがとても大事だと言えます。

そのためには、情報ソースが不明確なネット等の情報を盲目的に信用したりシェアしたりすることは避けるべきです。さらに、大手報道機関であっても偏向報道があるため、様々な機関の報道やその他のあらゆる情報ソースも見比べることで、報じられているニュースを可能な限り多面的に考えることが大事なのではないかと思います。

このブログでは、テレビ等では報じられない類の話も扱っています。日本の民主主義が正しく機能する一助になればと願っています。

 

尚、民主主義をより有効に機能させる仕組みとして、私は余命別選挙の導入が望ましいと考えています。ご興味のある方はこちらの投稿も是非ご覧ください。

一票の格差とは?みんなが納得できる選挙の方法は?

 

 

(ご参考)関連報道

民主主義に関する記事

時折、意外ではないのに衝撃をもたらす発表がある。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が権力の座にとどまり続けることは以前から自明の理だった。

とはいえ、中国共産党が2月25日、国家主席の連続2期までの任期を撤廃する憲法改正案を公表したことは、十分衝撃的だった。文化大革命の反省から、1人の人間へ権力が集中しないよう集団指導体制を制度化しようとした鄧小平氏の努力が有名無実化する。これはプーチン大統領率いるロシアの現状ともやや似ている。

(中略)

筆者は「民主主義が完全だとか、いかなる問題も解決できると見せかけることは誰にもできない。実際、民主主義はこれまで試されたそれ以外のあらゆる政治形態を除けば、最悪だと言われてきた」という英国のチャーチル元首相の金言を信じたい。民主主義国は民主的であり続ける限り、権力の座にふさわしくない指導者を自由で公平な選挙を通して退陣させられるからだ

(中略)

最も重要なのは民主主義自体を見直すことだ。普通選挙による代議制民主主義の歴史はまだ浅い。民衆扇動や金権政治がはびこりやすく、目先の利益が優先されがちだ。民主主義が世界だけでなく自国の市民からも信頼を取り戻すには、我々は課題を克服し、より良い体制に変えていくしかない。

それには国の中核機関と政治、メディアが本来の機能を果たしているかを精査する必要がある。様々な価値観が絡み合うなか、平和裏に政策を競い合うことで国民に望ましい結果がもたらされているか、改めて検証することも求められる。決して容易ではないが、我々はいま一度、心して取り組まなければならない。

出典: 日本経済新聞 「[FT]民主主義 強権中国と競う」(2108年3月5日)より一部抜粋

 

シャープパワーの定義に関する記事

ロシアが情報工作をして米国大統領選をねじまげた」という話が、米国の政界とマスコミを席巻していますが、最近、不正手段を用いて虚偽の情報をばらまいては敵対する国をかく乱することを「シャープ・パワー」と名付け、あれこれ議論されています。ここでは、Project Syndicateに2月1日付で掲載された、全米民主主義基金の研究分析担当副会長Christopher Walkerによる論説を紹介します。

(中略)

Christopher Walkerは、昨年12月、勤務先の全米民主主義基金(National Endowment for Democracy)のサイトに“Sharp Power: Rising Authoritarian Influence”を発表 してシャープ・パワー論議を先導している人物です。シャープ・パワーというのは、ジョセフ・ナイの提唱した「ソフト・パワー」概念をもじったもので、武力を用いる「ハード・パワー」と文化の徳をもって他人をなびかせる「ソフト・パワー」の中間に位置するものです。つまり、武力は用いないが、フェイク・ニュース等、不法な手段を用いる工作活動のことです。

(中略)

中国の外交官は、任国のアジア専門家に電話をしては、「今晩うちの大使がお話をしたいと言っている」と言い張り、日本関係の催しへの出席を妨害するなどしています。こういう専制主義国が使えるものは、確かに、筆者のWalkerが言うように、ソフト・パワーならぬシャープ・パワーでしかあり得ないのでしょう。

(中略)

別の言葉で言えば、この論説の筆者のWalkerが言いたいのは、「米国もシャープ・パワー発揮のための予算を増やせ」ということであり、ナイはそれに懐疑的だということです。Walkerが属するNational Endowment for Democracyはこれまでの諸報道、英文Wikipedia等によれば、レーガン大統領時代、CIAの肝いりで作られた民間団体で、その任務は議会が当時共和・民主超党派で設けた毎年約1億ドルの連邦予算を国務省とともに、民主化・人権向上運動NPO諸団体に配布して、途上国、旧社会主義諸国での民主主義の普及を促進することにあります。これら米国のNPO諸団体は(共和・民主両党とも、傘下に同種NPOを有する)、海外の反体制野党、あるいはこれを称する者達に資金を与えたり、デモ等によって政権を転覆するノウハウを指南することもあります。これは、その活動の対象となる諸国の政府から見れば、「米国のシャープ・パワー」に他ならず、ウクライナ等が混乱する一因を作ったと目されるものです。

出典: WEDGE Infinity 米国の「シャープ・パワー」議論の虚実より一部抜粋

 

シャープパワーの定義に関する記事

民主国家をターゲットにするロシアの情報操作の目的は、アメリカやヨーロッパの主要国を中心とする民主国家の名声そして民主的システムの根底にある思想を多面的にかつ容赦なく攻撃することで、自国をまともにみせることにある。一方、中国の情報操作は、問題のある国内政策や抑圧を覆い隠し、外国における中国共産党に批判的な声を可能な限り抑え込むことを目的にしている。権威主義国家の対外的世論操作プロジェクトは、ソフトパワー強化を目指した広報外交ではない。これをシャープパワーと呼べば、それが悪意に満ちた、攻撃的な試みであることを直感できるだろう。その目的は民主国家の報道機関に(自国に不都合な情報の)自己規制(検閲)を強制し、情報を操作することにある。

出典: フォーリン・アフェアーズ 「民主国家を脅かす権威主義国家のシャープパワー」(2107年12月号)より一部抜粋

 

中国のシャープパワーに関する記事 ~対オーストラリア~

オーストラリアの野党労働党のサム・ダスチャリ上院議員は12日、議員を辞職すると発表した。同氏を巡っては、中国の利益につながるような言動を取ったとの疑惑が浮上し、批判が高まっていた。

(中略)

ダスチャリ氏は党内で将来を嘱望されていたが、副党首に対して、香港の民主化運動家との面談を止めるよう働きかけた、と豪メディアが報じたことを受けて、批判が高まっていた。

ダスチャリ氏はこの日、シドニーで記者団に対して、上院議員を辞職すると明らかにした。

同氏は、党の方針に反して、中国の南シナ海での領有権主張を支持するような発言をした録音が表面化したことを受け、党の役職を既に辞職していた

出典: REUTERS 「豪労働党の上院議員が辞職、中国との関係巡り疑惑浮上」(2017年12月12日)より一部抜粋

 

中国のシャープパワーに関する記事 ~対ニュージーランド、オーストラリア~

ニュージーランドの現職国会議員が中国のスパイ容疑で、同国情報機関の捜査を受けていると伝えられた。隣国のオーストラリアでも6月、2大政党が中国共産党とつながりをもつ富豪2人から約10年間にわたり、巨額の献金を受け取っていたことが明らかになった。南半球の2大先進国の内政で、中国共産党が暗躍している

中国軍の教育機関で養成されたNZ国会議員

渦中の人物となった楊健議員(55)は1978年、中国人民軍空軍工程学院英文科に入学。卒業後、母校での英語教師を経て1987年、人民軍直属の洛陽外国語学院の大学院に入学、修士号を取得。同校でも英文科の教員として勤務していた。1994年、オーストラリア政府の海外援助プログラムのAusAID奨学金でオーストラリア国立大へ留学、博士号を取得。留学を終え、オーストラリアやニュージーランドの大学で教鞭をとり、のちにニュージーランドに帰化した。その後、政界に転身し、2011年、国民党から立候補し国会議員に初選出、現在2期目。出国前は中国共産党員だった

今回の発端は、楊議員が中国軍の教育機関に通っていた経歴を隠蔽していたことだ。とくに、卒業した洛陽外国語学院は、中国軍唯一の外国語大で、外国の軍事情勢を偵察する任務を負う人材、いわゆるスパイの養成を行う。その前身は人民軍793外国語学院で、サイバー攻撃や、外国軍の通信を傍受し技術情報の取得を担当する総参謀部三部の管掌下にある。今年2月、中国軍隊戦略支援部隊信息工程大学外国語学院と改名した。

出典: FISCO 「中国出身国会議員のスパイ疑惑 諜報活動に詳しい元中国外交官が分析」(2017年9月19日) より一部抜粋

 

中国のシャープパワーに関する記事 ~対オーストラリア、欧州各国~

新興大国が既存の大国を脅かすようになると、しばしば戦争へと発展する。この現象は、最初に提唱した古代ギリシャの歴史家にちなんで「ツキディデスのわな」と呼ばれる。これが近年、中国と欧米諸国、特に米国との関係に影を落とし、様々なあつれきを生んでいる。中国は、外国の領土を狙っていないにしても、外国人の頭の中を征服しようとしているのではないかと今、多くの人が恐れている。

中国のその手口について、最初に警告を発したのはオーストラリアだった。同国政府は5日、中国がオーストラリアの政界や大学、出版界に介入しているという疑惑から、国内の政治家に影響を及ぼそうとする外国の「前例のない極めて高度な」取り組みに対処すべく新法案を提出した。12日にはオーストラリアの野党の上院議員が、中国から資金を受け取り、同国の肩を持つような発言をしたという疑惑から辞職した。英国やカナダ、ニュージーランドも、同様の警鐘を鳴らし始めている。10日にはドイツが、中国がカネを使ってドイツの政治家や官僚を取り込もうとしていると非難した。13日には米議会が、中国の新たな影響力について公聴会を開いた。

■工作、嫌がらせ、圧力の3要素

米ワシントンのシンクタンク「全米民主主義基金(NED)」は、中国による一連の動きを「シャープパワー」と命名した。「ソフトパワー」は、その国の文化や価値観の魅力による強みを指すが、シャープパワーは、独裁国家が外国に自国の方針をのませようと強引な手段に出たり、海外の世論を操作したりするためのものだ

(中略)

オーストラリアとニュージーランドでは、中国マネーが政党や政治家個人への献金という形を通じて政治に影響を及ぼしているという疑惑が浮上している。前述のドイツのケースでは、中国はビジネス向け交流サイト「リンクトイン」を使い、政治家や政府高官に人材スカウトやシンクタンクの研究員のふりをして近づき、彼らに無料の旅行などを提供し、取り込もうとしていると独情報機関が明らかにした。中国は華人・華僑を監視してきた歴史を持つが、近年は外国人を取り込む工作活動を強化している。

■ギリシャの忖度

嫌がらせによる脅威も激しさを増している。極めてあからさまなケースもある。中国の民主化を訴えた活動家(編集注、7月に死去した劉暁波氏)にノーベル平和賞を授与したノルウェーに対し、激しい経済的な報復を与えたのは有名だ。このほか中国に批判的な人物は学会の登壇者として呼ばない、あるいは学者が中国に都合の悪い研究テーマは意図的に避けるといった例もある。これら多くの嫌がらせは、さほど重大にはみえず、中国政府の関与を証明するのも難しいが、深刻な影響をもたらす可能性がある。既に自説を撤回するように中国に圧力をかけられた欧米の大学教授は複数に上るし、中国に批判的な外国の研究者は、中国の資料を閲覧させてもらえなくなることも考えられる。そうなると政治家にとっては、自国の中国専門家の知識が限られてしまい、(対中政策で)知恵を借りようにも難しくなる可能性が出てくる。

中国の経済、政治、文化面における役割が大きいだけに、欧米は中国の圧力に屈しやすい。欧米の政府が外交上の課題より経済を優先させる可能性もある。例えば6月に欧州連合(EU)が中国の人権侵害を批判する声明を採択しようとした際、ギリシャは中国企業が同国のピレウス港への出資を決めた直後だったため拒否権を発動、採択は見送られた。中国経済の規模があまりに大きいため、求められずとも中国の思惑通りに動く企業も少なくない。この11月にはオーストラリアのある出版社が「中国政府による報復の恐れがある」として、中国関係の書籍の出版を急に取りやめた事実もある。

出典: 日本経済新聞 中国の「シャープパワー」に対抗せよ(2017年12月20日)より一部抜粋

 

中国のシャープパワーに関する記事 ~対フィリピン~

中国はビジネスにも敵対関係を持ち込む。独ダイムラーのメルセデス・ベンツは最近、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の言葉をウェブ上で不用意に引用したことで屈辱的謝罪を余儀なくされた。中国が主張する南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の領有権にフィリピンが異議を唱えた時は、健康へのリスクを理由に同国からのバナナの輸入を止めた

こうした「シャープパワー」は、軍事力や経済力などの「ハードパワー」を補完する。中国は、米国を東アジアから駆逐すべく域内の超大国として振る舞っている。スカボロー礁だけでなく多くの岩礁や小島を占領し埋め立てているし、急速に軍事力を近代化し、軍事投資を進めているため、東アジアで優位を維持してきた米国の長年の決意は揺らぐのではないかとの見方が出ている。人民解放軍は、戦争で米国を負かすことはまだできないが、国力とは武力だけでなく決意の問題でもある。中国の挑戦はあからさまだが、米国にはそれを止める意思も能力もなさそうだ。

出典: 日本経済新聞 「中国を見誤った西側諸国」(2018年3月7日)より一部抜粋

 

中国のシャープパワーに関する記事 ~対メルセデス・ベンツ~

メルセデス・ベンツは流線型フォルムをした自社の高級モデルを紹介する写真に、「あらゆる角度から状況を見れば、もっとオープンになれる」というダライ・ラマの言葉を添えてインスタグラムに投稿した。共産党系の環球時報が直ちにこれを批判。同紙のスクリーンショットによれば、投稿は8万9,000を超える「いいね」を集めた。

メルセデス・ベンツは投稿を削除した後、ソーシャルメディアの微博で「ひどく誤った情報」が含まれていたとし、「この件が中国における当社の社員を含む中国国民の感情を傷つけたことを十分に理解している」と謝罪した。

中国では海外企業による同様のケースが続けて起きている。上海市当局は1月、米ホテル運営のマリオット・インターナショナルがウェブサイトでチベット自治区を独立国家のように扱ったとして、中国語版のウェブとアプリを1週間閉鎖するよう命じた。スペインの衣料品小売りZARAと米デルタ航空も先月、台湾とチベットをウェブで国家として扱ったとして謝罪のコメントを出している。

出典: Bloomberg ベンツ、中国で謝罪に追い込まれる-ダライ・ラマの言葉を写真に引用(2018年2月7日)より一部抜粋

 

ロシアのシャープパワーに関する記事 ~対ドイツ~

<ロシアが今、ドイツに揺さぶりをかけている。ウクライナ東部で親ロ派を煽ったときのようにロシア系ドイツ人を煽動し、後にでっち上げとわかったロシア系ドイツ人少女の集団レイプ事件の背後にいたのもロシアだ。ドイツも遅ればせながら対抗策をとり始めた>

今いくつもの危機に見舞われている欧州大陸にもう一つ、深刻な脅威が浮上している。ロシアが、ドイツを傷つけ不安定化させようと積極的に動いているのだ。

ロシアのドイツに対する隠密活動は、軍事力と世論操作などの非軍事手段を併せたウラジーミル・プーチン大統領の「ハイブリッド戦争」の一環だ。標的がEU(欧州連合)のリーダーであるドイツだというのは由々しきことだ。内外で数々の安全保障上の脅威に直面している欧州の団結を維持できるのはドイツだけだ。

(中略)

最近の「リサ事件」によってそれが証明された。ロシア語を話すドイツの女性が行方不明になり、難民たちにレイプされた事件を隠蔽したとして、ロシア政府がドイツ政府を非難したのだ。ドイツ警察は、少女はレイプされておらず、少女の失踪に難民はかかわっていないと主張したが、この作り話により、ドイツのロシア人たちによる激しい抗議運動が起きた(のちに少女自身が暴行は嘘だったと話した)

この偽情報キャンペーンにはロシア高官も参加した。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が、この少女のことを「われらの少女」と呼んだのだ。同外相は1月に、「ドイツにいるロシア国民の保護はロシア外交政策の関心事だ」と言明していた。

サイバー戦もある。2015年4月に起きたドイツ連邦下院に対する大規模なサイバー攻撃を、ドイツ当局は「ロシアの軍情報機関」によるものだとした。ロシアのハッカーがドイツの主要サーバー14台にアクセスし、ドイツ連邦議会に属するデータにアクセスしたというのだ。他にも、ドイツの軍需企業などに対するサイバー攻撃は近年、相次いでいる。

出典: Newsweek 「ロシアがドイツに仕掛けるハイブリッド戦争」(2016年6月2日)より一部抜粋

 

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