中国リスク ~核実験によるウイグル人の被害状況~
2020/09/07
中国内陸部に新疆ウイグル自治区というエリアがあります。この地で中国は46回の核実験を行い、地元住民は先天性の疾患を患うなど深刻な被害を受けている様です。
しかも、新疆ウイグル自治区は、1949年に中国に不法に占拠され、ウイグル人は中国政府に虐殺されてきた歴史もあります。
この投稿では、新疆ウイグル自治区で行われた核実験による被害状況を報じたドキュメンタリー番組を紹介させていただきます。
この投稿の目的は、中国政府が過去どのようなことをやってきたのかの歴史に触れ、現在の日本がどのようなリスクに直面しているのかをより多くの人に理解してもらうことを目的としています。
現在、国会は森友学園や加計学園の責任追及に多くの時間を浪費しています。しかしながら、日本が置かれている状況を鑑みると、憲法改正にもっと時間を費やすべきだと私は考えています。この意見に賛同してくれる人が増えれば増えるほど、マスコミでも憲法改正についてもっと時間を割かざるを得なくなりますし、そうなれば野党も憲法改正の議論を進めるインセンティブに繋がるのではないかと思います。
この投稿が、憲法改正の議論が進む一助となることを願っています。
尚、中国に関するリスクについては過去にも類似の投稿をしていますので、興味のある方は是非こちらもご覧ください。
(注: ここで紹介している動画は英国の公共放送局であるBBCが報じた番組だと思われるのですが、動画をアップロードしているアカウントがBBC公式のものかどうかが不明なため、その確証が無い点は予めご了承ください。)
【ウイグル】中国の核実験 潜入調査その1【シルクロード】
【ウイグル】中国の核実験 潜入調査その2【シルクロード】
【ウイグル】中国の核実験 潜入調査その3【シルクロード】
【ウイグル】中国の核実験 潜入調査その4【シルクロード】
目次
死のシルクロード(上記動画の概要)
核実験による被害の状況
- 新疆ウイグル自治区内で過去40年間に渡り中国は40個以上もの核爆弾の実験を行った。実験した核爆弾の中には1個で広島型原爆の300個分以上の威力のものもあった。しかし、実験場周辺住民の健康への壊滅的な影響について中国政府は何も明らかにしていない
- 1980年代半ば以降、中国政府はこの地域に数千の観光客を誘致してきたが、その頃中国は観光客には知らせずに、18個の核爆弾をシルクロードの地下で爆発させていた
- 潜入捜査をしたアニワル氏が入手した文書によると、1970年代の初期から実験場付近のシルクロードの町の癌発生率は急増し、1990年までに中国全土の平均より30%も高くなった。1976年以来実験爆弾の巨大化で放射線量が増大したせいで癌が急増したと考えられる
- 核実験が行われた後、実験場近くの町では口蓋裂の子どもが多く生まれた。小児科の患者の10人に8人は口蓋裂があった
- 新疆ウイグル自治区では化学療法の必要がある患者が多く、肺癌や肝臓癌を患っている12歳以下の小児の患者が多くこの20年で急増した
中国政府の監視状況
- 原爆実験の放射線のせいで若年層の癌が増加しているが中国政府はその事実を隠蔽している
- 中国は抑圧的な一党独裁国家で移動の自由は厳しく制限され、外国人ジャーナリストならば新疆ウイグル自治区への立ち入りが禁止されている。今回の調査は観光客を装って行われている
- 今回の調査では、中国政府から怪しまれないようにするためアニワル氏は他の医師に「博士論文の下調べをしている」と言っていた。調査していることが政府にばれてしまえば20年の禁固刑となる模様
- 中国政府は「核爆弾はシルクロードの町に何の放射能汚染ももたらさなかった」「地元住民にはなんの害も無かった」と主張している。しかし、国際的科学団体にはそれが嘘だという証拠を有している。中国による核実験の史の灰はイギリスでも検出されている
死のシルクロード(上記動画中の字幕全文)
マルコポーロも通った伝説の街道、仏教の石窟や都市遺跡の宝庫、新疆のシルクロード地区(新疆ウイグル自治区内)。旅人にはここはさながらパラダイスだ。肥沃なオアシスの町々、たくさんの伝統のあるバザー、他人を拒む砂漠の連続・・・まばゆい光と色彩の土地・・・そして外国人観光客の数は増えているが、知られていないのだ。まさにこの地で、中国が大規模な核実験を行ってきたことは・・・
過去40年間、中国は40個以上もの核爆弾の実験を行ったが、この実験場の周囲にはシルクロードの町々が存在する。実験した核爆弾の中には、1個で広島型原爆の300個分以上の威力のものもあった。しかし、実験場周辺住民の健康への壊滅的な影響については何も明らかになっていない。
この夏、このシルクロードに調査チームが潜入した。
マルコポーロも通った伝説の街道、仏教の石窟や都市遺跡の宝庫、新疆のシルクロード地域、新疆ウイグル自治区(新疆ウイグル自治区内)。旅人にはここはさながらパラダイスだ。肥沃なオアシスの町々、たくさんの伝統あるバザー、人を拒む砂漠の連続・・・まばゆい光と色彩の土地・・・そして外国人観光客の数は増えているが、知られていないのだ。まさにこの地で、中国が大規模な核実験を行ってきた事は・・・
過去40年間、中国は40個以上もの核爆弾の爆発実験を行ったが、この実験場の周囲には、シルクロードの町々が存在する。
実験した核爆弾の中には、1個で広島型原爆の300個分以上の威力の物もあった。しかし実験場周辺住民の健康への壊滅的な影響についてはなにも明らかになっていない。
この夏、シルクロードに調査チームが潜入した。中国の核実験による被災者の状況を明らかにするためだ。証拠をつかみ、被害を明らかにするには、高いリスクを伴うが覆面調査の必要がある。
中国は抑圧的な一党独裁国家で、移動の自由は厳しく制限され、外国人ジャーナリストならば、新疆ウイグル自治区への立ち入りは禁止だ。そこで我々は観光客を装って調査に入る。
もちろん新疆地区の内情に詳しく土地勘のある人物も必要だ。そこであらかじめ、イスタンブールで新疆地区出身のがん専門医と接触した。アニワル・トフティ医師は、「小児の癌や奇形が発生し、その患者数は驚くほど増加している」と語った。
アニワル医師が中国に戻って、被害者(患者)に会ったり、極秘の医療文書を入手したりする手伝いをしてくれる事になった。
「一緒に行って資料を手に入れましょう。ただし、常に公安当局が尾行していますので注意が必要です。とても危険です。行動はすべて監視されます。」
旅の初日、訪問する町は、観光客にはおなじみの場所。多くの町は核実験場から200マイルしか離れていない。患者に会う際には、診療する資格のある医師が必要だった。ローラ・ワトソン医師はイギリスの多くの病院で臨床経験を積み、さらにアフリカの小児の健康被害を実地調査した経験がある
「私はシルクロードを旅行したいとずっと思ってきました。だから、そのシルクロードが核実験地帯だと聞いて驚いたのです。核の情報はほとんどありません。放射能は、癌や先天性欠損症を引き起こすことが分かっています。地元住民の健康被害のレベルを是非調査したいです」
核実験地帯に近い街でアニワルと合流。それからの6週間、中国当局にとってわれわれは古代遺跡などを見てまわるイギリス人観光客の1グループにすぎなかった。怪しまれないようにアニワルはガイドを装った
可能な限り観光ルートを外れて路地裏に行った。核実験場周囲に点在する昔ながらの集落で、核実験の被害者と思われる人たちに会った。この地域の住民はめったに医療が受けられない。ローラ医師とアニワル医師が診察もしてくれるという噂が広まり大騒ぎとなった。核実験の影響を調べている事は隠した。
この18歳の若者は6歳の時から歩けない。慢性的な筋委縮症を患っている。11月のある日、他の子どもと遊んでいて気温が下がり、氷の上で転んで足を折ったんです。ここから折れました(足の付け根)。医者に行ったらこんなふうに足に包帯をされました。歩けはしますが難儀です。両足(両下肢)の筋緊張は亢進・・・歩行などに全く使わないから、全体も内反している。
「わかったわ。こうすると楽なのね、OK」
「この足は先天性障害で、生まれた時にすでに正常ではなかったように思われます。歩ける現実とは別にして、もともと生まれてから足が弱っていくような病気を持っていたのでしょう。一種の先天性の変性性障害だと思われますが、もっと調べてみないとはっきりとは分かりません」
診察した患者達には、驚くべき多さで先天性欠損症が認められた。この若い女性は精神発達遅滞があり、また、上手く歩けない。ローラが母親に小さい頃の事を尋ねた。
「正常に話すようにもなったんですね」
「全く話せませんでした。今でもちゃんとは分からないんです。言葉はゆっくりですが、母、父、兄、妹は言えます」
「体重を自分の足にかけられますか?」
「立って。さぁ、おまえ、立ってごらん」
「いいわ、OK」
「じっとしていなさい」
「手は楽にして、少し歩ける?とても不安定だわ」
「身体的には健康で、幸せで、きちんとケアを受けているように見えます。西側諸国でできる事はここでも全部していると思います。お母さんがされている看護は立派です。これは先天的なもので、一生付き合っていくしかないと思います」
短期間で様々な種類の先天性障害の診察が出来たが、まだその原因を調べる必要がある。次に診察した少女は17歳。症状からは骨粗しょう症のようである。
「この子は病院で生まれました。その時は特に異常はなかったんです。次第に体を後ろに反らすようになったんです。軟膏が効くと思い、塗りました。よく医者にも連れて行きました。カルシウムの欠乏が原因だと言われました。」
「その後、症状は進行しましたか?」
「2年前にまた体を後ろに反らすようになりました。骨が折れ始めました。この前の冬以来足首が折れたままでした。どういうものか、足が釣ったようになると、骨まで一緒に曲がっているんです。見て下さい、脚(=下肢)の筋肉がすっかりないでしょう?」
「第一に彼女の症状がカルシウム欠乏などの外的要因によるものだとは考えにくい。先天的な要因で、骨が変性して、もろくなっていくような病気の可能性が高い。」
「この子の事で、冬中泣きながら過ごしました。ひどい痛みはこの子の足首の骨が1本飛び出していたからだと分かりました。」
当局に見破られる可能性が常にある事は分かっている。次の患者グループに会いに行く途中で共産党の公安部に尾行されていると警告された。我々は先を急ぐ。
実験地帯の近くの集落で、ひどい奇形の子ども達の数々を目の当たりにした。この苦しみの原因が原爆実験にあることを突き止めるには、中国当局による症例報告を入手しなくてはならない。証拠を探してこの地方の首都ウルムチへ入る。ここに長くいると不自然だ。観光都のいい訳が通じないような所だ。
危険を顧みず、アニワルは医療文書の秘密調査を始めた。入手した文書を全てビデオに記録するために、彼に隠しカメラを渡した。
怪しまれないためにアニワルは他の医師に「博士論文の下調べをしている」と言っていた。何をしているかを疑われてはいけない。いつ見破られるかもしれない危険にさらされながら、アニワルは資料を調べ始めた。見つかれば20年の禁固刑である。
ウルムチで統計を調べている時に、仲介者から重要な知らせを受け取った。新疆地区の南に、情報提供を申し出ている医師がいると言う。注意をそらすために観光客を装った。
仲介者から連絡が入った。今回初めて、新疆の医師達が核実験の被害状況について語る訳だが、外国人に現地の状況を話すのは途方もなく危険だと承知の上である。この医師たちを守るため、映像では身元が分からないようにしている。
「化学療法の必要がある患者が多い、とにかく多いのです。患者の90%が血液の癌かリンパ球の癌です。基本的には新疆のいたるところで癌が見られます。急にがんが増えだしたのは、この20年程で、特に南部で目立ちます。12歳以下の小児の患者が多いです肺癌や肝臓癌ですね。この年齢までの子どもには両方の癌を認めています。」
医師達が言うには新疆での癌患者は急増しており、その多くが治りにくい癌の若年層の患者だというのだ。この26歳の女性は若年者には稀な腸の癌である。彼女は核実験場の風下にある一番近い町、庫爾勒(クルレ)に住んでいる。
「地元の病院では長い間原因が分からないままで、痛みは徐々に悪化しました」
「では今回は症状の再発であり、この施設に来たのは初めてではないのですね?」
「はい、初めて手術を受けた時には何だかよく分からなかったんです。手術の後も具合は悪いままでした。」
放射線の被爆のすぐ後に生じるがんの一つに白血病がある。白血病患者の増加は核爆発による影響の表れと言える。
「統計はないですが、見る限りでは白血病の患者は増えています。現在の患者数は以前よりもはるかに多いです。」
この少年は白血病のせいで内出血しやすく、皮膚に紫斑が出来ている。
「子どもが血液がんの家庭は多いのに病院には来られません。治りにくく治療費も高いから。多くの患者は家でそのまま死にます。確定診断がついても、治療代が払えないと分かると、病院にもう来なくなるのです。」
新疆の医者達は確信していた。「原爆実験の放射線のせいで若年層の癌が増加している。だが、中国政府はその事実をひた隠しにしているのだ」と。
「核爆発で水や空気が汚染されました。それを調査したくても許可がおりません。何一つ調査できないのです。」
ウルムチに戻って、再びアニワルと合流した。彼は病院からの記録の数々を持ち出すことに成功していた。われわれは書類を手にして興奮した半面、高まる危険に不安になった。
アニワルの収穫の中には、核実験による放射能汚染に関する論文が多く含まれていた。しかし、どの論文も一様に「放射能汚染は無い」と断定。
中国政府は「核爆弾はシルクロードの町に何の放射能汚染ももたらさなかった」「地元住民にはなんの害も無かった」としているのだ。しかし、国際的科学団体にはそれが嘘だという証拠がある。中国による核実験の史の灰は、5,000マイル離れたイギリスでも検出されたほどだった。
その夜は書類の束をめくって過ごした。ついに見つけたのは、新疆医学大学疫学部の論文だった。それによると、実験地帯付近最大の都市であるウルムチでは、「癌による死亡者数は2000年には1993年の2倍になる」と予測されている。異常な増加だ。この機密文書はビデオに録画した。観光客のフィルムを装って中国から持ち出すためだ。
もっと沢山書類による証拠が欲しい。アニワルは大きな賭けをすると決意した。コネのある人たちに、決定的な証拠になりそうな極秘文書を見られるよう頼み込んだのだ。誰かが警察に密告する可能性はあった。観光客を装って再度患者を見に出て行く。喀什(カシュガル)は中国のシルクロードの集結地であり、夏には観光旅行のハイライトになる。
人々はウイグル人の豊かなオアシス文化を見にやってくる。人種的には中国人ではないのに、中国はウイグル人の土地で全ての核実験をした。
地元の仲介者が我々を多くの患者に密かに引きあわせてくれた。放射能のせいで口蓋裂の子どもが生まれてくる事がある。この地では、実験地帯の風下に住む家族のそういう子ども達の一人に会った。
「核実験が10年前で、その後、実験場近くの町では口蓋裂の子どもがたくさん生まれています。小児科の患者の10人に8人は口蓋裂がありました」
一人の医師の診る小児患者10人中8人が口蓋裂なのは異常だ。明らかに核実験のせいだろう
「奇形児の発生率たるや異常なレベルです。胃腸の膨満、頭部肥大などの奇形、母親側の障害など・・・奇形児そのものは多く出産されても、統計上奇形が無視されるケースとなる死産も多い。誰も今まで言いだしませんが、そりゃあ核汚染が原因だと思いますよ」
この6歳の少年は、出会った子ども達の中でも典型的な例である。医師の報告によると脳が正常に形成されていない。
「では、現在はどんな事が出来ますか?現在は歩けますか?」
脳が小さいので知的障害があり、右手や歩行の様子からは他の先天性異常もありそうだ
「いつもちょっと不安定だわ」
この周辺の喀什(カシュガル)、和田(ホータン)などの地域の人々は、治療の難しさや費用を知ると、子供を家に連れて帰るしかありません。お金が無いんです。生きるか死ぬかは神の意志だと親は子供に説明します。
1980年代半ば以降、中国政府はこの地域に数千の観光客を誘致してきた。しかしその頃中国は観光客には知らせずに、18個の核爆弾をシルクロードの地下で爆発させていた。当局は安全だと言うが、実験による放射能は、土を通り抜けて大気中に漏れ出している。死の灰が近隣諸国で検出された。遠く海を隔てた日本ですらも・・・
旅の5週間目アニワルから再度連絡があった。また重要な発見をしたのだ。急いでウルムチに戻った。アニワルの非常に危険な戦略が功を奏したのだ。中国の医学界内部の秘密文書を入手していた。
文書には「部外秘:取扱注意」と印がつけられていた。それは癌の治療施設の増設を必死に嘆願する内容で、最後は、「治療体制は切迫しており、一刻の猶予もない」と書かれていた。
「これらのデータは重要ですね。10万人当たりの癌発生率の増加を中国全土と新疆全域で比較したものです」
アニワルが入手した文書によると、1965年以降中国のがん発生率は増加している。データによれば、1970年代の初期から、実験場付近のシルクロードの町の癌は、他の中国の地域に比べて急激に増加している。1990年までに、シルクロードの町のがん発生率は、中国全土の平均発生率より30%も高くなった。1976年以来、実験爆弾の巨大化で放射線量が増大したが、そのせいで癌も急増したようだ。シルクロードの町の癌は実験のたびに増加している様がグラフでも分かる。データの示す地元住民への放射能の影響は、背筋の凍りつくようなレベルに達している。
この極秘文書で、医師達の証言内容の信憑性も確認できた。シルクロードの癌の中で、最も急増しているのは、悪性リンパ腫、肺癌、白血病であった。
「全く驚きました。放射能で起きるがんと言えば、まずは、悪性リンパ腫や白血病じゃないですか。まさに一致しています。」
長年、自国の核実験の実態を頑固に隠し通してきた中国。御用学者たちは、核による健康被害はないと言ってきた。中国の医師たちは核被害のまとまったデータを知り得なかった。しかし、ここにある証拠で御用学者連中の嘘がわかるのだ
イギリスから同僚の医師が来た。同じホテルに泊り、同じように観光客を装った。彼は重要証拠を国外に運び出すかかりである。
過去6週間、アニワルは密告される危険を毎日おかしてきた。彼が脱出する時が来た。アニワルは「出国したらもう二度と中国には戻れないだろう」と思っていた。北京空港で、彼は裸にされて所持品を調べられ、数時間尋問を受けた。しかし、何の証拠も所持していなかったので結局解放された。
アニワルと、テープの運び役の同僚が無事出国したという連絡を得てから、我々は調査を疑われるような形跡はすべて処分した。
「観光旅行」が終われば、我々も観光客もこの地域を立ち去る事が出来る。しかし新疆の数百万の人々にはその選択肢はない。人が住む地域で行った世界最大規模の連続核実験。それでも彼らはシルクロードで生きなければならない。この汚染された土地で食物を育て、そこを流れる水を飲み、その上を流れる空気を吸わなくてはならない。
「地元住民は『原爆被害が起きている』と、もう気付いています。皆が被害を話題にし、皆が身近に知っています。医者も皆もそれを知っているようです。しかし、公に声を上げて抗議することはできません。医師がちょっと実態を調べる事すら許されず、原爆被害は完全に秘密事項です。それが最悪なことの一つです。」
中国政府が悲惨な被害を隠し通す今も、この17歳の少女のように多くの人々が実際に、過酷な原爆症に苦しんでいる。
「この前の冬には、娘は痛みで大変苦しんでいました。痛みに耐えられないので、足を切り落してくれとずっと言っていました。もう、これ以上は耐えられません。どうしていいか分かりません。娘を抱きしめて、慰めています。娘はある時死にたいと言いました。『お母さん、みんな、さようなら、もうこれ以上、痛みに耐えられないよ』と」