日本の核武装と安全保障

   

報じられる機会は少ないですが、日本は核兵器を開発する力を持っています。このことは国会で与党が発言している事実です。

また、日本は安保条約があるからといって、米国の核の傘に守られているとは必ずしも言い切れない様です。実際、日本政府はその前提に立って米国と安全保障の極力関係を維持する努力をしています。

この投稿では日本の安全保障政策について、核武装、日米安保条約、原発、憲法第9条の関係性を紹介します。

紹介に当たっては、国会の答弁や省庁が開示した資料等可能な限り信頼性の高いものからの引用を心がけました。

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目次

日本の核開発をめぐる歴史

日本が核兵器を持つべきかどうか政府で議論されたのは、1964年に中国が初の核実験を実施した際、1990年代におけるロシアが有する核兵器の脅威への対応を検討した際、2006年に北朝鮮が初の核実験を実施した際、の3回あったと言われています。

日本が核兵器を持ってしまうと、中国との核兵器開発競争の激化懸念や、核拡散防止条約が形骸化し多くの国が核兵器を持ち始めるリスク等様々なデメリットが予想されています。こういった事態になることは米国も望んでおらず、米国による日本の防衛に対するコミットメントを引き出す交渉材料として、日本の核兵器開発は使われてきた様です。簡単に言うと「核開発をしてほしくなかったら日本を守れ」という交渉です。

中国の核実験と米国のコミットメント

1964年に中国が初の核実験を実施したことを受けて、佐藤首相は米国のジョンソン大統領と会談し日本の核開発をほのめかすことで、米国から日本の防衛に対するコミットメント(約束)をとりつけた模様です。

日本に核兵器をもって欲しくない米国の思惑をうまく活用し、米国の核の傘やその他軍事力による防衛力を味方につけることに成功したと言われています。

当時の流れを時系列に示せば以下の通りです。政府による公式な開示書類は無いものの、防衛大臣を務めた石破茂氏が、東洋経済の記事でこのことを語っています。

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日時 出来事
1960年1月 新日米安保条約締結
1964年10月 中国が初の核実験を実施
1965年1月 佐藤栄作首相とジョンソン大統領の会談を実施。佐藤首相は「中国が核を持ったから日本も核を持つ」と主張することで、日本の防衛に対する米国のコミットメントを引き出したと言われている
1967年12月 非核三原則を表明

アメリカの核の傘は本当に有効なのか

丹羽: そこでアメリカの核の傘ということですが、核の傘という考え方はいつ頃からのことなんですか。

石破: 東京オリンピックが終わって、その年の12月に佐藤栄作総理がワシントンに行って、時の大統領リンドン・ジョンソンと会談し、「中共も持ったのだから日本も核を持つ」と言っているんですね。しかしアメリカは結局、「あの日本に核を持たせてはならん」と

そこでアメリカの核の傘を提供することと同時に、日本は核を作っちゃいけない、持っちゃいけない、持ち込ませることもしちゃいけないという「非核三原則」が導入されることになる。これが、中国が核実験をした後の一連の流れであると私は理解しております。

丹羽: 日本が持つと言っているぞということに対して、当時の国際社会の反応はどうでしたか。

石破: 当時はそれほど違和感を持って受け止められなかったと思いますね。

丹羽: 核の傘はNATOやその他のアメリカの同盟国にもあるのですか。

石破: NATOは基本的にはアメリカの核の傘に依存していますが、フランスはこれを是とせず、シャルル・ド・ゴール大統領は「同盟とは共に戦うことはあっても、決して運命は共にしないものだ」と言って核を持つわけです。

丹羽: 同盟とは傘に入ることじゃないと。

石破: はい。イギリスでは、ウィンストン・チャーチル首相がアメリカの核と原子力潜水艦の技術をそのまま導入するという決断をしています。ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギーなどの非核保有国は、ニュークリア・シェアリングというやり方を導入し、自前の核は持たないが有事においてはアメリカの核を使う権利を持つ、ということでやっています。

というわけで、日本のように「核の傘があるから大丈夫ですよね」と信じて何もしない国はあまりないと言えるのではないでしょうか。

丹羽: いったいアメリカの核の傘というのは有効なのか。本当に傘になるのか。

石破: そうですね。核の傘というが、大きさはどれくらいか、穴が空いていたりしないか、どんなときに差し、どんなときに差さないか、ということを定期的に確認しなければ、核の傘の実効性は担保できないと思います。

丹羽: 紙でできた傘かもしれない(笑)。

石破: それでは困ります(笑)。ですから、NATOの核を持たない国々は、アメリカとの間で、事務レベルでも政治レベルでも核抑止力の実効性をつねに検証しています。これと同じシステムを日米間にも作る必要があるということです。特にいま、何をやるかわからない北朝鮮が核ミサイルを持っていると主張しているわけですから。

出典: 「日本は今こそ「核問題」を真剣に議論すべきだ」(2018年02月07日 東洋経済)より一部抜粋

北朝鮮の核実験と米国のコミットメント

北朝鮮が2006年に核実験を初めて実施した際も、日本の核武装が取りざたされました。核実験を実施した約1週間後に、麻生外務大臣は米国ライス国務長官との共同記者会見の実施にこぎつけることが出来ました。その際、「今核武装をする必要がないのは、日米安全保障条約が確実に作動するとのコミットメントがなされたから」と発表しています。

実は、この日米共同記者会見の前日に、国会の質疑で野党から「日本は核武装を検討すべきと考えているのか?(憲法9条もあるのに)まさかそんなこと考えていませんよね」という趣旨の質問がなされています。

論理的思考力を少しでも持ち合わせている人ならば、北朝鮮が核兵器を手にした状況で日本が核武装すべきかどうかの議論自体を否定する質問を投げかけることはしないと思います。さらに、この質問をこのタイミング(ライス国務長官との共同会見前日)に行うと言うのは、米国に対して日本は核兵器開発能力を有していることをアピールすることになります。

このように考えると、外務省の官僚が準備した質問に野党がのっかったと考えるのが納得感があるように思います。

「日本の核武装の検討」という質疑は、野党からしてみれば「核は何が何でもすべて反対」ということを国民にアピールして大衆の支持を集めることができ、与党としては「米国からの譲歩」を引き出す材料になります。

この推測が正しければ、これだけの短期間に外務省の官僚は素晴らしい働きをしてくれたことになります。

ご参考までに、当時の時系列の出来事、国会の質疑、共同会見を紹介します。

尚、2006年11月の国会答弁で日本に核兵器開発能力があることについて言及されています。

日時 出来事
2006年10月9日 北朝鮮が初の核実験を実施
2006年10月17日 国会(安全保障委員会)にて核武装を検討すべきかの質疑がなされる
2006年10月18日 麻生外務大臣、ライス国務長官による共同記者会見にて、日本の防衛に対する米国のコミットメントを再確認
2006年11月30日 国会(安全保障委員会)にて、与党より日本が核開発能力を有しているとの回答


辻元委員:
 さて、その大臣にお伺いします。

これは二〇〇三年なんですけれども、毎日新聞が、核武装を検討すべきかどうかということを選挙の直前にすべての候補者に調査をいたしました。そこでは、今問題になっている中川自民党政調会長や、安倍当時の幹事長も検討すべきと返事をされていて、麻生大臣も、びっくりしました、検討すべきという御回答をされているんですけれども、そういう認識なんでしょうか。私は、今外務大臣がそういう御認識なのかと愕然といたしました。

麻生国務大臣: そもそも、日本において核兵器保有の選択肢というのは考えられないという政治の立場については、もう従来から累次にわたって説明してきたと思っております。

ただ、日本の核政策の変更の議論というのは全くされておりませんが、その当時、核兵器というものの保有について検討すべきか、だんだんだんだん隣がみんな持っていくときに、日本だけ何の検討もされていないというのはいかがなものか。いろいろなものを検討した上で持たないというのも一つの結論ですから、そういった意味で、何の勉強もしないまま、無知のままでいくよりは、きちんと勉強した上で持たないというのも一つの選択肢だと思っております

辻元委員: 私は、その点は非常に残念な御発言でした。

この北朝鮮核問題に、直接いろいろな国と交渉なさるわけです。日本はやはり被爆国。非核三原則を堅持するということをしっかり示されないと、検討するということは、変える余地もあるということですよ。ですから、私は、外務大臣こそよく勉強していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。この問題は引き続きまたやりたいと思います。

出典: 安全保障委員会 第165回第1号(2006年10月17日)議事録より一部抜粋

10月18日(水曜日)17時24分より14分間、麻生大臣は、訪日中のライス米国務長官との会談後、共同会見を行ったところ、概要以下のとおり。

(中略)

ライス国務長官:

(3)加えて、私たちは、この重要な時期における日米同盟の重要性について協議した。米国は、1960年の日米安保条約を含めた全ての安保体制上のコミットメント含め、日本の防衛に対する米国の確固たるコミットメントを大臣に再確認し、明日安倍総理に対しても再確認する予定である。自分は、ブッシュ大統領の、米国は日本に対する抑止と安全保障のコミットメントをあらゆる形で、繰り返すがあらゆる形で(full range)履行する意思と能力を有している、との10月9日のステートメントを再び述べた。また、仮に北朝鮮が核関連物資・武器を他国や非国家に移転する場合、その責任は北朝鮮が負うことになる旨ブッシュ大統領は明らかにした。現在は、同盟国が特に協調すべき時期である。我々の同盟関係は、この地域の平和と安定の重要な柱の一つであり、現在更に強固なものとなっている。これは全ての関係国が承知しておくべきことである。

(中略)

麻生大臣:

「隣の国が核武装したら日本は核武装しなければならないだろう」というのは外国のプレスから昔らか言われている話。しかし、新たに核武装を用意するというような立場は全く日本政府にはない。また、今核武装をする必要がないのは、いわゆる日本の防衛のために日米安全保障条約が確実に作動(work)するとのコミットメント(というかreconfirmationというもの)がライス長官からなされたからである

出典: 「日米外相会談後の共同会見(概要)」(2006年10月18日開催 外務省ウェブサイト)より一部抜粋

辻元委員: 日本の場合は核をつくる能力はあるとか、できるけれどもやらない、おれたち、つくろうと思えばつくれるのよというのをきちんと向こうに言って、それはちゃんとある程度抑止になり得ると。麻生大臣の認識の、できるけれどもやらない、核をつくる能力はあるという、これを発言された根拠は、日本が今どういう状況にあるから核をつくる能力があると思われていますか。

麻生国務大臣: どういう状況がどうとかいうんじゃなくて、これは技術的な話であって、技術的には、核をつくる能力、またはロケットを、少なくとも移動衛星、静止衛星、偵察衛星等々を飛ばす、搬送する技術も日本はありますので、またプルトニウム等々も、私どもとしては、IAEAの管轄下においてそれをきっちりつくっておるという技術を持っていることも確かです。

したがって、私どもはそれをつくる技術があることは確かだと申し上げておるのであって、だからといって、直ちにそれをつくって核を持つなどということは一回も言っていないのであって、言った途端にNPT等々国際条約に違反することにもなりますので、そういったことを申し上げているわけではありません。ただ、技術的にできるという現実、事実を申し上げたわけです。

出典: 安全保障委員会 第165回第11号(2006年11月30日)議事録より一部抜粋

今後核武装が検討される条件

フォーリン・アフェアーズ(外交官等には必読書となっている国際情勢の専門誌)では、朝鮮半島の統一によって再度日本の核武装の議論が必要となるとの見解が示されています。

反核感情の強い日本の科学者コミュニティが(政府による)核開発の要請に応じるとすれば、安全保障環境が大きく悪化した場合に限られる。そして、日本の政策決定者たちが核武装を真剣に考えるとすれば、韓国が核武装するか、ピョンヤンが現在の核の兵器庫を温存したままで朝鮮半島に統一国家が誕生した場合だろう。一方で、日本が核開発に乗り出せば、北京は軍備増強路線を強化し、北朝鮮による対日先制攻撃リスクを高めるかもしれない。韓国が核開発に乗り出し、地域的な緊張が大きく高まる恐れもある。核開発への東京の姿勢は、歴史的にも、アメリカによる核抑止の信頼性をどうみるかで左右されてきた。少なくとも、トランプがそのクレディビリティを大いに失墜させているのは間違いない。

出典: 「日本の核ジレンマと国際環境 ― 能力も資源もあるが・・・」(フォーリン・アフェアーズ・リポート 2019年11月号)より一部抜粋

 

日本の核兵器開発能力と原発

2006年に麻生外務大臣が核開発能力を有していると国会で発言しましたが、この能力と原発は当然切っても切れない関係にあります。

東日本大震災後の日本で原発に反対する世論が形成されつつあった状況で、当時防衛大臣も経験済みだった石破茂氏が、原発を維持することは核兵器開発能力を持つことのアピールになり、それが核の抑止力につながるとの主張している記事が報じられています。

脱原発の世論が強まる一方で、日本の政治家や知識人には原発推進派が依然として多い。しかし、核兵器の開発技術を維持するために原発を継続すべきとする賛成論が公に語られることはほとんどない。

石破茂元防衛相は、先月発売された隔週刊誌「サピオ」のインタビューで持論を展開した。「原発を維持するということは、核兵器を作ろうと思えば一定期間のうちに作れるという『核の潜在的抑止力』になっている」

石破氏は、核兵器を持つ必要はないとしながらも、「原発をなくすということはその潜在的抑止力をも放棄することになる」と警鐘を鳴らした。同氏は、自民党政調会長を務めていた8月にもテレビ番組で同様の発言をしている。

石破氏の意見は激しい抗議を引き起こす代わりに、原発のメリットを今一度考えるきっかけとなっているようだ。読売新聞は先月の社説で、「日本は原子力の平和利用を通じて核拡散防止条約(NPT)体制の強化に努め、核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている。こうした現状が、外交的には、潜在的な核抑止力として機能していることも事実」として、政府に原発継続を求めた。

出典: 「日本の原発論議で表面化する「核抑止力」論」(2011年10月29日 THE WALL STREET JOURNAL)より一部抜粋

 

自民党の石破茂元幹事長は5日、東京都内の講演で、日本として核兵器を製造できるような技術は保持すべきだとの見解を示した。「その気になったら核兵器をつくることができる技術を持っておくべきだ」と述べた。

出典: 「自民・石破茂氏「核兵器の製造技術保持は必要」 核兵器保有は否定」(2017年11月5日 産経ニュース)より一部抜粋

 

思いやり予算増額交渉と憲法9条

日本の安全保障について考える際、在日米軍に対する支出も重要な論点かと存じます。2019年11月に、日本に駐留している米軍に支払う経費(いわゆる「思いやり予算」)をこれまでの4倍支払うことを要求していると報じられました。

日本政府はこれを否定していますが、中国や朝鮮半島の状況を鑑みると今後米国から増額要請の交渉は益々強くなっていくと思われます。

もし、皆さんが外交官で米国からこのような要求が来た場合、どういった交渉をしますか?

ただ米国の要求を拒否するだけでは米国の日本の防衛に対するコミットメントが弱まったりすることが懸念され、良い結果にはならないことが容易に想像できます。

こういった状況では、例えば憲法9条を引き合いに出すという交渉も一つの選択肢として考えられます。

実際、外務省の資料によれば1969年に日本と西ドイツの政府高官が会談した際、「日本は米国の圧力により憲法9条で軍事力を持てなくなった。だから、日本の安全を守るよう米国に要求できる」という趣旨の発言がされています。

憲法改正については様々な論点があろうかと存じますが、「中国、ロシア、朝鮮半島の情勢」、「日本単独での防衛力を獲得/維持するコスト」、「原発」、「核兵器(開発能力)」等の論点と合わせて考える必要があります。

日本の国益を考えた場合、桜を見る会を追求する時間があるのであれば、もっとこういった点について国会の時間を割いてほしいと強く思います。

トランプ米大統領が日本政府に対し、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を大幅に増やすよう要求していることが分かった。

事情を知る米政府関係者および元米政府関係者がフォーリン・ポリシー誌に語った話によれば、トランプ政権は日本政府に米軍駐留経費負担を現在の4倍以上に増額することを求めているという。

(中略)

「このように法外な要求を一方的に突き付けるやり方は、反米感情に火を付けかねない」と、元CIA分析官でもあるヘリテージ財団のブルース・クリングナー北東アジア担当上級研究員は懸念する。「同盟が揺らぎ、米軍のプレゼンスが縮小して抑止力が弱まるようなことがあれば、恩恵に浴するのは北朝鮮や中国、ロシアだ」

(中略)

トランプ政権の日韓両国政府への要求は、世界規模で同盟国に国防支出を増やさせようとする動きの一環と位置付けられる。

トランプは以前から、ヨーロッパの同盟国の国防予算が少な過ぎると批判していた。そうした圧力は効果を発揮したらしい。NATO諸国は来年末までに、国防予算を2016年の水準に比べて1000億ドル以上積み増すことにした。

トランプがNATOの次に目を向けたのがアジアの同盟国だったようだ。アジアでは、中国が軍事力を増強している上に、北朝鮮の軍事的脅威も再び高まっている。日本は、アメリカとの特別協定の下、米軍駐留経費として約20億ドルを拠出している。現在の特別協定は、21年3月末に更新期限を迎える。3人の元米国防総省当局者によれば、米政府は協定更新に向けた交渉が本格化するのを前に、この予算を約80億ドルに増やすことを日本政府に求めた。

出典: 「トランプが日本に突き付けた「思いやり予算」4倍の請求書」(Newsweek 2019年11月16日)より一部抜粋

菅義偉官房長官は18日午前の記者会見で、7月に訪日したボルトン米大統領補佐官(当時)が在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を現在の約4倍に増やすよう求めたとの米誌報道に関し「そのような事実はない」と否定した。

出典: 「在日米軍経費の4倍要求 菅官房長官「そのような事実ない」」(産経新聞 2019年11月18日)より一部抜粋

10月3日放映のNHKスペシャル「“核”を求めた日本」によれば,1969年2月,日本と西独が箱根で「日本と西独との間の秘密会議」(注:第1回日独政策企画協議と考えられる)を開催した際,日本側出席者(団長:鈴木孝外務省国際資料部長(故人))が以下のような発言をしたとされる。

  • 「日本と西独は,米国からもっと自立する道を探るべきだ」「両国が連携することが超大国になるために重要だ」
  • 10年から15年のうちに,(日本として)核保有を検討せざるを得ない『非常事態』が起こると考えている。中国が核を持つことをアメリカが認めたり,インドが核保有国となるような事態だ」
  • 「日本は憲法9条があることで平和利用の名の下に,誰にも止められることなく原子力の技術を手にした」
  • 「日本は核弾頭を作るための核物質を抽出することができる」

(中略)

NHK番組中の「日本と西独は,米国からもっと自立する道を探るべきだ」,「両国が連携することが超大国になるために重要だ」,「日本は憲法9条があることで平和利用の名の下に,誰にも止められることなく原子力の技術

を手にした」との発言は日本側資料,独側資料いずれにも存在しなかった。

ただし,若干類似する表現として,独側資料の中に,「日本側にとっては,この意見交換は,超大国(Supermacht)と対等の地位にまで至るかもしれないという想定(いずれにせよ日本に関する限り)を西独がどこまで支持できるかを照会しようとする試みであった。」,米国との関係では,日本は引き続き戦後米国の圧力で憲法に規定された第9条というカードを完全に使いたいとの意向であり,これによって,米国が日本に対し,自らの安全保障(の確保)に貢献すべき,及び,今後予期される東南アジアにおける力の空白を埋めるために軍事的な貢献をすべきと求めた場合,高い対価を求めることができる。」との記述があった。

出典:「“核”を求めた日本」報道において取り上げられた文書等に関する外務省調査報告書(2010年11月29日 外務省)より一部抜粋

 

マスコミに期待していること

マスコミの方々には、もし核武装が国会等で取り上げられた場合は、「日本の安全保障」、「原発」、「憲法9条」も含めた論点整理を期待しています。

視聴率や記事が売れることが重要視される民間のマスメディアには、このような論点整理は難しいかもしれません。何故なら政府(=与党)が取り組んでいる政策は、こういった多岐にわたる論点を考えながら最適な対応を追求していると考えられます。多角的な論点を議論すると結局政府のやっていることが妥当という結論になってしまい、政府批判ができずニュースとして面白くないからです。

こういうときこそ国益のために存在するNHKの出番なのですが、果たしてきちんとした報道をNHKが出来るのでしょうか。今後の報道に期待したいと思います。

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