NHK受信料の妥当性を検証してみた

      2017/03/11

NHKの籾井会長らが経営委員会に、来年10月から受信料を月額約50円値下げすることを提案しているとのニュースが最近報じられています。これに対して、値下げ幅が小さすぎるとの批判の声が視聴者からあがっているようです。

そこで、この投稿ではNHKの受信料が妥当なのかどうかについて、民間企業と比較することで検証してみたいと思います。

 

目次

結論

各種決算データやサービス内容を比較すると、概ね以下の様なことが言えそうです。

  • NHKの受信料は他の有料放送と比較して、総じて値段が高い(hulu、U-NEXT、Netflixよりも高い)
  • 従業員数、平均給与が民放5社と比べて一番高い。民放5社の年収平均が約1,400万円なのに対し、NHKは約1,800万円にも達する
  • 受信料の徴収に費用をかけ過ぎている。民間企業における広告宣伝費や販売促進費並みの費用を費やしている

 

以下に根拠となるデータ等を記載しておきます。

スポンサーリンク

 

WOWOWやhulu等とNHKの比較

表1 有料動画サービスの比較

NHK WOWOW スカパー hulu U-NEXT Netflix
月額 2,280円 2,484円 4,093円
(基本パック)
1,007円 2,149円 702円
(ベーシックプラン)
サービス内容 4チャンネル 3チャンネル 47チャンネル 動画配信
(30,000本)
動画配信
(50,000本)
動画配信
(数千本)

出典: 各社ウェブサイト(2016年11月16日時点)

お金を払って動画が見られるものとしては、主に上記のようなサービスがあります。

それぞれ提供される動画や番組が異なるため、料金が高いとか低いということを月額のみをもって判断することは出来ませんが、NHK受信料が妥当かどうかの参考にはなると思われます。

 

この表からは、NHK受信料がhulu、U-NEXT、Netflixよりも高いことが分かります。

huluとNetflix両方のサービスを購入した場合、月額1,709円しかかからず、NHKの受信料2,280円よりも安くなります。

 

では、仮に皆さんがNHKを受信するか、それともhuluとNetflixの両方のサービスを購入するのかを選べるならば、どちらを選ぶでしょうか?

私だったら間違いなくhuluとNetflixを選びます。月額もNHKより安いうえに、見たい映画や海外ドラマがたくさんそろっているからです。

では、NHKの受信料が月額1,000円だったらどうでしょうか?もしくは500円だったらどうでしょうか?ここまで下がってくるとNHKの方を選ぶという人も結構出てくるのではないでしょうか。

私たちがNHKのサービスを購入したいと感じる値段が、本来受信料として設定されるべき金額だと私は考えます。それだと番組製作費用等が賄えない場合、公共性を考慮して多少の受信料上乗せが許されるというものだと思います。

 

このように、他の有料動画サービスの値段を比較することで、NHKの受信料はいくらが妥当なのか皆さんもイメージしやすくなったのではないでしょうか。

 

 

民放5社との比較(従業員数、平均給与等)

表2 民放5社との比較(2016年3月期)

NHK 日本テレビ フジテレビ テレビ朝日 TBS テレビ東京
連結売上高(億円) 7,547 4,148 6,406 2,808 3,485 1,362
 広告収入(億円) 0 2,485 2,136 1,893 1,685 802
 広告以外の収入(億円) 7,547 1,663 4,269 915 1,800 560
純利益(億円) 318 369 228 122 145 47
従業員数(人) 10,242 4,170 8,110 4,271 5,641 1,484
平均給与(万円) 1,780 1,427 1,430 1,334 1,490 1,323

出典: 会社ウェブサイト、ヤフーファイナンス、リテラ

NHKと民放5社を比較してみました。こうしてみると、NHKは給料が高く(高コスト体質)、事業規模も大きいことが伺えます。

 

民放5社の年収平均が約1,400万円なのに対し、NHKは約1,800万円にも達しています。民間企業と違いリストラのリスクも低いことから、民間企業を若干下回る年収であっても、優秀な人材を集めることは十分可能だと思われます。このように考えると、平均年収は1,200~1,300万円程度でも問題ないのではないでしょうか。現在平均年収が1,800万円弱なので、一人当たり500~600万円の人件費が削減出来ます。従業員が約1万人いますので、全員が正社員と仮定すれば、年間500~600億円のコスト削減が可能となります。

 

そもそも、公共放送はその役割を考えると必要最低限の番組を制作することが使命のはずです。というのも、必要最低限の範囲を超えるものは民間に委ねるというのが一般的だからです。このように考えると、NHKの売上高や従業員数は民放5社と比較してみると大きすぎると言えます。表2からは、NHKは事業縮小すべきという結論も導き出されるのが自然だと思います。

 

「NHKの受信料調達費」と「民間企業の広告宣伝費」の比較

表3 有料動画サービスの官民コスト構造比較(2016年3月期)

NHK WOWOW スカパー
売上高(億円) 7,547 753 1,629
純利益(億円) 318 67 169
広告宣伝費、販売促進費
受信料調達費
(億円)
734 49 149
売上高に対する割合 9.7% 6.5% 9.2%

出典: 会社ウェブサイト

WOWOWやスカパーといった民間の有料放送は、収益を上げるために広告宣伝費や販売促進費を使ってお客を獲得しています。

 

一方で、NHKは収益を上げるため、受信料取り立てに多くの費用を投じています。2016年3月期は受信料の取り立て(正式には「契約・収納のための経費」と言います)に734億円をかけています。売上高に対しては9.7%もの比率を占めます。

 

顧客獲得のための宣伝広告費や販売促進費は、企業が収益を上げるためになくてはならないとても大事な項目です。これがWOWOWでは売上高に対して6.5%であり、スカパーは9.2%となっています。

一方で、受信料の取り立ては単なるコストにすぎません。WOWOWやスカパーが売上高の10%もの費用をかけて視聴料金を取り立てていたら、必ず倒産します。

NHKはこのコストでしかない項目に売り上げの約10%もの費用を投じています。

WOWOWやスカパーの取り立てと同じ方法を取れば、700億円程度の費用削減出来るのではないかと思われます。

 

最後に

こうしてみると、人件費と受信料の取り立て方法の適正化をするだけで、年間1,200億円程度の費用を削減することが出来ます。

この投稿では可能な限り数字を使ってNHKの無駄遣いをあぶりだすことを試みました。これを一つの材料として、NHK組織の適正化が進むことを願っています。

 

尚、既得権益を犯すことなくNHKの受信料を大幅に削減するアイデアについては、以下の投稿をご覧ください。

NHKの受信料を大幅に削減する具体的方法

 

 - その他

PAGE TOP