NHK受信料に関する裁判で勝つ方法

   

2017年4月12日、NHKの受信料支払いを巡る裁判に関して、法務省は裁判所に対して異例となる意見書を提出したことが発表されました。

この投稿では、この裁判で争われている論点を整理するとともに、争うべき論点は本来何なのかについて私なりの考えをまとめています。

 

結論から言うと、裁判で争われている論点は「契約の自由」についてです。しかし、NHKの公共性を鑑みると、受信料支払いを拒否する根拠として「契約の自由」を主張するのは得策でないと私は考えます。

受信料を支払いたくないと考えている人たちが不満に思っていることは、恐らく料金が高すぎるということではないでしょうか。

そこで、「契約の自由」について裁判で争うのではなく、料金が不当に高いという点を争った方が筋が通っているし、効果が期待できると思われます。NHKが提供している番組の内、たった一つでよいので公共性が低いことを裁判で証明できれば、受信料を値下げさせることに繋がり、肥大化した組織をスリム化させることにも繋がります。

このことについて、以下順を追って説明していきます。

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金田勝年法相による意見書

新聞報道によれば、金田法相が裁判所に出した意見書で「公共性を鑑みるとNHKとの受信契約を拒否できない」という趣旨のことが述べられています。つまり、憲法等で定められている「契約の自由」は認められないということを主張しています。

 

法務省は12日、NHKが東京都内の男性に受信料を支払うよう求めた訴訟の上告審をめぐり、最高裁に対し、受信料の徴収は合憲とする金田勝年法相の意見書を提出したと発表した。

(中略)

意見書は訴訟で証拠として採用されるわけではなく、参考として扱われる。

意見書では公共放送について、災害や有事の際に「国民に情報を正確で具体的に提供し、国民が自らの生命、身体、財産などを最大限守るために適切な行動をとれるようにする重大な社会的使命がある」と記述。受信設備を設置すると「重要な情報にアクセスできる地位が確保される」ため、受信料の徴収は憲法の「契約の自由」などに違反しないとの意見を述べた

出典: NHK受信料訴訟、法相が「合憲」意見書 最高裁に(日本経済新聞 2017年4月12日)より一部抜粋

 

ただし、この意見書では契約を拒否できない理由として「受信設備を設置すると」という条件が付されています。

 

ちなみに、放送法第64条1項では、次のように定められています。

「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備(テレビ)を設置した者は、協会(NHK)とその放送の受信についての契約をしなければならない。」

つまり、上記報道で明らかにされている金田法相の意見書は、放送法をなぞっているだけと読み取れます。

 

ただし、本当に放送法をなぞっているだけなのかどうかは、意見書の全文を読まなければ判断できません。私が調べた限りでは、意見書の内容は一般に開示されていないようです。この裁判は国民の生活に大きな影響を与えるため、極めて異例な法務省による意見書が出されたものだと考えられます。とするならば、意見書の中身を国民に開示するべきだと私は考えます。

 

裁判で争われている論点

今回の裁判では、①契約の自由、②契約が成立する時期、の2つの論点が争われています。

 

NHKが東京都内の男性を相手に受信契約を結んで受信料を支払うよう求めた訴訟の上告審で、最高裁が年内にも下す判決を前に法務省にこの問題で異例の意見陳述を求めていることが分かった。

(中略)

裁判は受信契約を拒否した男性をNHKが受信料の支払いを求めて提訴したもの。憲法の「契約の自由」があるなか放送法の規定が憲法に合致するのかについて最高裁が初めて判断を下す。NHKは申込書を送った時点で自動的に契約が成立すると主張するが、一審は男性が承諾しなければ契約は成立しないと結論づけており、契約成立時期も争点になっている。

出典: 受信料訴訟、最高裁動く(日本経済新聞 2017年3月31日)より一部抜粋

 

一審・東京地裁判決は「申込書を送っても、承諾しなければ契約は成立しない」と判断。「判決が男性に承諾を命じた時点で契約が成立する」と結論づけ、二審も支持した。他の訴訟の判決でも同様の考え方が主流だ。

男性は放送法の受信契約義務の規定が「憲法の契約の自由などに違反している」と主張しており、大法廷はこの規定が合憲かどうかの憲法判断も示す見通しだ。

男性は2006年3月に東京都内の自宅にテレビを設置。一、二審判決は未払い分の受信料約20万円の支払いを命じ、NHKと男性の双方が上告していた。

出典: NHK受信料訴訟、大法廷が判断へ 最高裁(日本経済新聞 2016年11月2日)より一部抜粋

 

NHKの受信契約をめぐる裁判事例

これらの新聞で報じられている事例かどうかは定かではないですが、NHKの受信契約を巡って参考となる判決を紹介いたします。

 

判決の概要()

  • NHKが個人を訴えた裁判
  • この個人はNHKから受信契約を打診され、それを拒否し続けていた
  • この個人はテレビを持っていることを認めた(この開示日を受信設備設置の時点と裁判で呼んでいる)
  • 放送法の趣旨を考慮すると、テレビを設置した日から受信料を払うべき。したがって、テレビを設置したら受信契約も拒否できない
  • 放送法の趣旨を考慮すると、個人が契約する意思表示をしていなければ、NHKが一方的に受信契約を結ばせることは出来ない

 

判決の一部抜粋

放送法は,受信施設の設置によって,直ちに受信者と原告との間に受信料債務関係を含む一般的な法律関係が成立したものとせず,受信者の側に契約締結義務を定めているにとどまることからすると,原告が指摘する放送法の趣旨,すなわち,原告の公共放送機関としての役割の重要性に照らし原告が広く受信者一般から受信料を受領できるよう受信者の受信契約締結義務を定めたものであること,及び受信契約に基づき受信料を支払っている多数の受信者との間の公平の観点を考慮したとしても,窓口変更通知到達日から相当期間が経過したということのみで,その時点で直ちに原告と被告との間に受信契約が成立したものと解することは困難である。

(中略)

個々の受信者の対応如何によって受信料債務の成立時点が異なってくることを法が予定しているものとすることも合理的でないこと等を考慮すると,同条項が,現実の契約締結は契約関係確定手続であり,したがって,その効果が受信設備設置の時点にさかのぼるというシステムを前提としているものと解するのが相当である。

出典: 横浜地方裁判所 相模原支部 2013年6月27日 受信料等請求事件 より一部抜粋

 

私たち日本国民には契約の自由が保障されています。例えば、憲法13条や29条がその根拠とされています。上記論点の「①契約の自由」とは、NHKから受信契約の締結要請があったとしても、契約の自由を理由としてそれを拒否できるという主張です。

しかしNHKの公共性を鑑みれば、最高裁でも恐らく契約の自由は認められないと思われます。

 

では「②契約が成立する時期」についてはどうでしょうか。

上述の裁判事例では、個人が契約を拒否し続ければNHKとの契約は締結されないという趣旨の結論を出しています。一方で、この個人の方はテレビを設置したとNHKに伝えています。そして、判決でもテレビを設置した日から契約が成立するという結論を出しています。

つまり、テレビを設置したら契約を締結しなければならないという放送法の定めに沿った判決だと思われます。

 

NHKの受信料に対する不満の本質

NHKの受信料を払いたくないと思っている人は大勢いると思います。こういった人たちは何故そう考えるのでしょうか?

恐らくNHKの公共性については一定の理解を示しつつも、ほとんど見ないし、その割に受信料が高いと感じているのではないでしょうか。

こういった不満が生じるのは、公共性を感じられない番組が多いということが原因ではないでしょうか。

 

NHKが提供する番組の中には、公共性があるものが含まれているため、契約の自由を裁判で争っても勝てる見込みは低いと思われます。

 

そこで裁判で争う論点を変えてみるのはいかがでしょうか。

NHKの本来あるべき姿とは公共性の高い分野(例えば報道、教育)の番組を取り扱うことだと私は考えます。しかし、現状ではバラエティやその他の番組も「公共性」という大義名分を掲げ制作しています。こういった番組は、本来民放が担うべきです。

つまり、公共性の低い番組制作を抑制し、チャンネル数を減らし、コストを削減させるというのが裁判で争うべき事項ではないでしょうか。

 

NHKのコスト削減を促進させる方法

では、どのように裁判を起こせばよいのかについて考えてみます。

それは、1つだけで良いので、公共性が低くNHKが制作すべきでない番組を裁判で認めさせるという方法です。つまり、NHKの受信料が不当に高いという主張をします。

 

この方法の良い点は、1つの裁判で負けても他の番組を引き合いに出せば、何度でもNHKに対して裁判を起こせるという点です。

「契約の自由」を争点としている現在の裁判は、最高裁の判決が出てしまうと、その後この論点について裁判で争うことはほぼ意味をなさなくなります。しかし、各番組の公共性を論点にすれば、何度でも争うことができます。

 

こういった裁判を起こすことで、NHK組織が肥大化するのを抑制する効果が期待されます。例えば、NHKの制作チームの方々が新しい番組を企画する際に、裁判を起こされないように公共性の高い番組を志向するようになると考えられます。

このような動きが取られるようになると、NHKは報道番組や教育番組で溢れかえり、チャンネルを2つも維持する必要性があるのかという議論が世の中から自然と沸いてくることが期待されます。

 

NHKの受信料をいくらにするのかは、最終的には国会で承認を得なければなりません。上記のような活動により、公共性の低い番組が作られているという裁判所の判決が出れば、人気商売である国会議員もNHKの受信料を簡単には承認できなくなります。

 

公共性の低い番組であるという判決が1つ出たところで、還付が期待される受信料はたかが知れています。しかし、1件でもこのような判決を勝ち取れば、上記のような波及効果が期待され、NHKは無駄な費用を浪費する体質から真に公共性の高い番組のみを取り扱うスリム化された組織へと改善されることが期待されます。

 

尚、既得権益を守りながらNHK組織のスリム化を進める方法としては、以下の投稿で説明しています。上記のような公共性を疑問視する裁判と、この円滑な組織のスリム化という方法を合わせれば、全ての人が損をすることなく事を進めることが出来ると思います。

 

NHKの受信料が高いと憤慨している方、社会的インパクトの大きい裁判で勝って名を上げたいという弁護士の方、NHKは民業圧迫だと感じているテレビ局の方等は、是非この方法を試してみてはいかがでしょうか。

 

関連する投稿:

NHKの受信料を大幅に削減する具体的方法

NHK受信料の妥当性を検証してみた

 

注: 判決内容を分かりやすくするため、法律的には正確でない表現に変更して概要説明しています。正確な表現を知りたい方は、出典である裁判所ウェブサイトへのリンクをご覧ください。

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