ギャンブルが規制されている理由

      2017/03/08

2016年12月15日、国会で「カジノ法案」が成立しました。その一方で、タレントの清水アキラ氏の三男である清水良太郎氏は、2017年2月10日発売の週刊誌「FRIDAY」で、違法カジノに出入りしていたと報じられています。

日本でカジノが合法化する方向へ向け国会が大きく前進した後に、違法カジノの入店をスクープされるというとても「残念」な状況となっています。

恐らく数年経てば日本でカジノが出来るようになるでしょうし、どうしてもカジノを楽しみたいのであればマカオ、シンガポール、アメリカ、オーストラリア等海外に行けばいくらでも遊べる場はあります。

 

この投稿では、そもそも何故カジノ(ギャンブル)が日本で違法とされているのかについて触れ、タレントやその他有名人が犯した罪の本質について考えてみたいと思います。

 

結論としては、ギャンブルを解禁すると働かなくなってしまう考え方が広まり、実際に働かなくなってしまう人が増えてしまうため法律で禁止されているというのが裁判所の考え方であり、有名人はこの観点で日本全体にとって不利益を生じさせた罪を負っていると考えられます。

さらに、違法なことをしているため反社会的勢力(いわゆるヤクザ)の事業に間接的に加担したという罪を負っていると思われます。

このことについて、これから順に説明をしていきます。

スポンサーリンク

「カジノ法案」とは

この法案の正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」といい、略称は「IR推進法案」と呼びます。

この法案が2016年12月15日に国会で成立しましたが、これにより日本で直ちにカジノ(ギャンブル)が解禁されるわけではありません。この法案は、カジノの設置やギャンブル依存症対策等の法整備を進める責任を国に課したものです。

尚、「特定複合観光施設」とは法案では次のように規定されています。

「カジノ施設及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするもの」

簡単な言葉に言い換えると、統合型リゾート(Integrated Resort, IR)のことです。

 

これまでに違法カジノや賭博の件で報じられた有名人

  • 2017年2月10日発売の週刊誌「FRIDAY」にて、清水アキラ氏(62歳)の三男である清水良太郎氏(28歳)が違法カジノ店に出入りしていたと報じられた。本人は違法カジノへの入店は認めているものの賭博行為自体は否定しているとのこと
  • 2016年4月29日、警視庁は読売ジャイアンツ(巨人)に所属していた笠原将生氏を、チームメイトである福田聡志氏、松本竜也氏に野球賭博のルールを教えたなどとして逮捕したと発表。さらに、高木京介投手も賭博に関与していたことが発覚した
  • 2016年4月8日、リオデジャネイロオリンピック出場が確実視されていた桃田賢斗氏(NTT東日本所属)、ロンドンオリンピック代表の田児賢一氏(NTT東日本所属)が都内で記者会見を開催。2014年末から錦糸町の違法カジノに通い、多額の現金を賭けていたことを認め謝罪した

 

ギャンブルを違法としている刑法の仕組み

日本では、ギャンブル(賭博行為)は刑法で禁止されています。

(賭博)

第百八十五条  賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

(常習賭博及び賭博場開張等図利)

第百八十六条  常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。

2  賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

日本では競馬や競輪等のギャンブルが認められています。これは、次のような刑法の定めを活用して刑法185条や186条との整合性を取っています。

(正当行為)

第三十五条  法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

 

ご参考までにですが、現在、法令で認められているギャンブルは以下のものがあります。

  • 競馬(競馬法)
  • 競輪(自転車競技法)
  • 競艇(モーターボート競走法)
  • オートレース(小型自動車競走法)
  • 宝くじ(当選金付証票法)
  • スポーツ振興くじ(スポーツ振興投票の実施等に関する法律)

 

カジノについても新たに法令で定めれば、刑法第35条の「法令による行為」が適用され、合法化されるというのが日本の賭博に関する法律の仕組みです。そのため、「カジノ法案」は法改正として国会で議論を進めています。

ギャンブルを違法としている理由

日本では刑法185条、186条でギャンブルを禁止しています。自分のお金をどう使おうとも個人の自己責任ではないかと感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで、なぜ法律でギャンブルを禁止しているのかについて説明します。

 

最高裁の判例では、次のような説明がなされています。

 賭博行為は、一面互に自己の財物を自己の好むところに投ずるだけであつて、他人の財産権をその意に反して侵害するものではなく、従つて、一見各人に任かされた自由行為に属し罪悪と称するに足りないようにも見えるが、しかし、他面勤労その他正当な原因に因るのでなく、単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは、国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風(憲法二七条一項参照)を害するばかりでなく、甚だしきは暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらあるのである。

出典:昭和25年11月22日 最高裁判所大法廷判決 一部抜粋

 

判例での説明を簡単な言葉に言い換えると「ギャンブルを合法化すると、真面目に働くのが馬鹿らしいと思う人が増えてしまう」ということを主張しています。

働かない人が増え過ぎてしまうと、社会保障費が増え日本が国として成り立たなくなってしまいます。だからギャンブルを法律で禁止しているという説明です。

 

尚、この判例では「(ギャンブルは)副次的犯罪を誘発する」と説明しています。これは、反社会的勢力(いわゆるヤクザ)が闇カジノ等のギャンブルで稼ぐことを生業としているためにこのような説明がされていると思われます。

 

しかし、反社会的勢力は独占的にビジネスが出来て儲かるから違法なことをしているにすぎず、合法化されれば民間企業との競争にさらされて淘汰されると考えられます。つまり、「(ギャンブルは)副次的犯罪を誘発する」というのは、ギャンブルが違法だから犯罪を誘発しているのであり、ギャンブル自体を規制する理由ではないと私は考えます。

この判例は昭和25年のものであり、当時の時代背景等もあったため、ギャンブルを禁止する直接的な理由として副次的犯罪の誘発を追加しているのだと思われます。

 

尚、公営ギャンブル(競馬、競輪等)が法で特別に認められているのは、公営であるため反社会的勢力の資金源にはならない点、県や国等の収入になる(税収が増える)点等の理由からだという説明がよくなされています。

 

ご参考までにですが、1920年アメリカで禁酒法が施行されました。これにより、違法酒の製造販売ビジネスをマフィアが始めることとなり彼らにとっての大きな資金源となってしまいました。結局、禁酒法は1933年に廃止するに至っています。

このような過去事例を鑑みると、カジノも同様のことが言えるのではないでしょうか。

つまり、現時点では違法なため、闇カジノがヤクザの資金源として大いに活用されているが、ギャンブルを合法化するとヤクザの資金源を根絶することに繋がることが期待されます。

 

闇カジノ問題の本質は何か?

日本ではギャンブルが法律で禁止されていますが、国会ではIR推進法案が可決され、政府はカジノ解禁へ向けて法改正を進めています。

数年後に合法化されれば、それ以降は罪に問われなくなるギャンブルですが、カジノに出入りしていた有名人の方々はどういった罪を犯したとして罰せられるべきなのでしょうか?

私が考える罪は二つあります。

第一に、反社会的勢力(いわゆるヤクザ)にお金を流してしまっている点です。反社会的勢力の方々は詐欺や恐喝といった事業を営んでいます。こういった方々にお金が流れ潤ってしまうと、さらに組織が大きくなり、その結果日本が廃れてしまう原因の一つになってしまいます。

 

第二に、「法律を犯してもよい」という考え方をしている点です。カジノが解禁されれば清水良太郎氏、桃田賢斗氏等の行いは違法ではなくなります(ただし、合法的に運用されているカジノに限る)。しかし、現時点では違法です。「法律に違反しても良いのだ」という考え方は、人気商売であるタレントや、国の代表として出場するオリンピック選手候補としてはいかがなものかと世の中からみなされると思います。

 

最後に

これから、国会ではカジノ解禁へ向けた法整備が進められていくと思います。

反社会的勢力への資金流入の防止やギャンブル依存症対策は、これからしっかりと制度設計がなされることを期待しています。

適切な制度設計がなされるように、マスコミの方々にも是非ご協力を頂きたいと私は考えます。例えば、先行している外国のカジノにおける成功事例や、反社会的勢力が法の抜け穴を突いた事例等を数多く報じて欲しいと思います。

一度制度を作ってしまうと、その後の変更や修正はとても難しくなります。

カジノ解禁反対派と推進派の表面的なたたき合いの議論は、時間の浪費以外の何物でもありません。

国会議員が十分な対策をしているかどうかについて、国民が判断できる材料を提供して頂きたいと思います。それが日本の将来にとって、とても有益な情報になるはずです。

尚、カジノ解禁によるメリットやデメリットについては、以下の投稿で紹介しています。興味のある方は是非ご覧頂ければと存じます。

カジノ解禁によるメリットとデメリット

スポンサーリンク

スポンサーリンク

 - その他