民進党の公約「大学無償化」は税金の無駄遣いではないか?

      2019/03/27

民進党が次期衆議院選挙を見据えて、公約として大学の無償化を掲げる原案を発表しました。

「大学まで教育無償化」「経産省解体」民進党、公約の目玉政策原案発表 産経ニュース 2016年12月1日

 

そこで、この投稿では大学を無償化することは日本全体のことを考えたときに正しい選択なのかどうかについて考えてみたいと思います。

結論を先に述べると、大学で学ぶ学力の無い人の学費も税金で賄うことになるため、一律に大学を無償化するべきでないと私は考えます。

 

それでは、順を追ってこの問題について考えてみます。

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大学の現状「大学全入時代」

少子化が進んでいる今日の日本では、大学に進学する人口もそれに応じて減少しており、大学を選ばなければ志願者の全員が大学に入学できる状況になっています。

 

2016年度に実施された調査によれば、全国577校ある私立大学のうち257校が定員割れとなりました。

出典: 日本私立学校振興・共済事業団 平成28(2016)年度私立大学・短期大学等入学志願動向 28ページ目

 

つまり、大学の入学基準を満たせば全員が合格となる大学が4割以上もあるということになります。

さらに、定員の8割までしか生徒を集められなかった私立大学は117校にも上りました。

尚、いわゆる「Fランク大学」と呼ばれている定員の5割までしか集められなかった大学は13校でした。

 

大学の現状「Fランク大学」

では、いわゆるFランクと言われている大学では、どのような授業が行われているのでしょうか。

ネット等で良く引用されている千葉科学大学について、調べたのでここで紹介します。

 

2015年度および2016年度のシラバスでは、「基礎数学」の授業内容は以下のように説明されています。

ご覧いただくと分かるように、小学校で習う少数、分数、百分率、中学一年で習う一次方程式等を学ぶ内容となっています。
(教科書は、2014年度、2015年度とも同じもの「Primary 大学テキスト これだけはおさえたい 理工系の基礎数学 実教出版」を指定しています)

シラバスからは、概ね中学までに習う数学を教える授業のように見受けられます。

 

表 千葉科学大学 基礎数学の授業内容

回数 授業計画(2015年度) 授業計画(2014年度)
1回 数学の学習に関する基礎的なガイダンスと基礎学力調査(2回目以降の授業計画の基礎資料)を行う。 数学の学習に関する基礎的なガイダンスと基礎学力調査(2回目以降の授業計画の基礎資料)を行う。
2回 線形性(一次関係)の観点で、一次方程式・直線・一次関数を取り扱う。代数的な処理はおおむね2元や3元程度にとどめ、文脈や現象を定式化する練習を行うことで、係数や定数の解釈にも触れる。 数と量の計算 P.8~P.15 小数表現・分数表現・文字式表現
3回 数と量の表現を歴史性・実用性・国際単位系の観点から扱う。小数表現・分数表現の特徴を学び、分数は、分子分母に小数分数が混在する場合も扱い、単位の変換などと関連付ける。 不等式 P.16~P.17 P.50~P.53大小
4回 数と量の代表的な処理は、多変数・多変量を扱い、特に、演算の並べ替えや括弧の有用性学ぶ。コンピュータでの処理におけるアルゴリズムとして、数と量の代数的な計算を見直す。 近似  P.18~P.23四捨五入・有効数字・十進数
5回 非線形性の代表例として、二次関係を扱う。二次方程式・二次関数の代数的な処理から、2次の無理数にまで触れる。時間があれば、複素数の導入とその代数的な処理も行う。 比と割合 P.26~P.31百分率・密度・濃度・速さ
6回 比例関係を扱う。事象を、局所的にみて、近似的に正比例・反比例として扱う。特に、多変量の比例関係にも言及する。 比例 P.32~P.37正比例・反比例・2乗比例
7回 大小関係とその論理と表現として、基準となる単位数1と0の意義を学びなおす。特徴的な不等式の基本的な性質と連立不等式を扱う。特に、絶対値と四則演算の関係を等式・不等式として整理する。 一次式 P.44~P.49一次方程式・連立方程式・直線・一次関数
8回 様々な不等式として、二次不等式、不等式で定義される領域を扱う。図示とその解釈を扱う。 二次式 P.54~P.59二次方程式・無理数
9回 概数と概算 2進数と10進数の構造・小さな数や大きな数の処理 電卓とグラフ作成ソフト 直線 放物線 分数関数 円 楕円
10回 近似(近似値と誤差)を扱う。精度の意味を理解しながら、有効数字の概念と、計算との関係まとめる。四捨五入は、算数から扱われているが、JIS規格による定義とではずれがある。情報科学では切捨てが主流であったり、一方で、社会生活では、切上げ、二捨三入、五捨六入など、四捨五入の多様なパターンがあることを学ぶ。 累乗・指数 P.40~P.42 P.108~P.111 指数法則
11回 比と割合の基礎として、比と比の値の違いに始まり、多変量の複比まで扱う。比率に関しては、百分率(パーセント%)から始まり、千分率(パーミル‰)や百万分率(PPM)までを学ぶ。 指数関数 P.112~P.115指数方程式・指数不等式・グラフ
12回 比と割合の応用として、濃度・密度・比重を扱う。特に、相対的な概念の良さを学ぶ。基準1と逆数との関係を学ぶ。 対数の性質 P.116~P.119 対数の定義
13回 数列を等差数列と等比数列の違い中心として学ぶ。累乗と等比数列の関係を丁寧に扱う。 常用対数 P.124~P.125  対数表 付録
14回 電卓とグラフ作成ソフトを活用する。このために、陽関数・陰関数の概念を導入する。2次曲線、放物線(パラボリック)・双曲線(ハイパーボリック)・楕円を描く。 まとめ(総合演習)問題解決の工夫
15回 まとめ(総合演習)問題解決の工夫(さまざまな方眼紙の活用) まとめ(総合演習)総合的な解説 授業評価

出典: 千葉科学大学ウェブサイトより

 

各大学の教育水準の維持・向上を図ることを目的として行われた指導について、文部科学省が「設置計画履行状況等調査の結果等について」という報告書を開示しています。

この報告書によれば、千葉科学大学は以下の様な指摘を受けています。

「英語Ⅰ」「基礎数学」など大学教育水準とは見受けられない授業科目があることから、大学教育の質の担保の観点から、適切な内容に修正するか、または正規授業外でのリメディアル教育で補完すること。

出典: 設置計画履行状況等調査の結果等について(2014年度) 文部科学省

 

翌年の文部科学省の調査結果ではこの指摘が削除されているため、恐らく何かしらの補修(リメディアル教育)で補完される手続きが取られたのだと推測されます。

 

いずれにしても、2014年度から2015年度にかけて千葉科学大学における基礎数学の内容は、シラバス上殆ど変わっていません。中学までに習う数学を大学の授業で単位として認めているという状況から、何かしらの改善がなされたとはこのシラバスからは読み取れません。

 

民進党が掲げている「大学の教育無償化」は、このように大学の授業で中学の内容を教えている学校に対しても税金を投じるということを意味します。

(本投稿は千葉科学大学を批判する意図は全くありません。税金の使途に関する優先順位を論じることを目的としています)

 

人件費の高い大学でこのようなことをするのは税金の無駄遣いだと私は考えます。中学の数学を勉強したいのであれば、中学生向けの塾に通った方がよっぽど安上がりです。

 

民進党の狙い

では、民進党が大学無償化を公約に掲げている理由は何なのでしょうか?二つの可能性が考えられます。

可能性① 票稼ぎ

解散総選挙が近々なされるとの観測が出てきているため、一見すると受けが良い「教育を重んじる」政策を掲げていると考えられます。もしこの理由から大学無償化を掲げているのであれば、税金を無駄遣いしてでも民進党が選挙に勝つことを優先してもよいと考えている政党ということが言えます。

可能性② 大学無償化は正しい政策だと信じている

この場合、民進党の公約を作っている方々は分析能力に長けていないということが言えます。これまでこの投稿で説明してきたように、少し調べれば大学全入時代に全員の学費を無償化することは税金の無駄遣いでしかありません。

可能性①の場合であっても可能性②の場合であっても、民進党が国会で幅を利かせてしまうことに不安を感じるのは私だけでしょうか。

私はこの投稿で民進党を批判したいのではありません。日本がもっと良くなるために正しい策を掲げる政治家が増えてほしいという狙いと、政治家が非効率的な政策を掲げたときにもっと効率的な方法があるということを私たち国民一人一人が主張する世の中に変えて行きたいという狙いがあります。

 

民進党が掲げる政策の改定案

では、大学の授業料に関してはどのような政策を掲げるのが良いのでしょうか。

私としては、東大、京大、慶應、早稲田等の難関校を無償化するというのであれば、まだましな政策だと考えます。

本来税金の配分としてあるべき姿としては、優秀な学生には給付型奨学金を手厚く提供し(つまり、難関校は無償化に近い制度とする)、中間層にはローン型の奨学金を提供し、ただ大学に入学するだけの人にはローン型奨学金を提供すること自体を禁止すべきだと考えます。

こうすれば、学生には努力をすれば貧困の連鎖を断ち切る機会が与えられることになります。それと同時に、奨学金の返済見込みの低い学生に対する多額の貸付という問題の解決も図れます。

 

今の日本には、努力している人も努力していない人も一律に平等に扱う因習があるように感じます。民進党が掲げる大学の無償化もその一例です。

本来、私たちに与えられるべきものはこのような「結果の平等」ではなく、「機会の平等」ではないでしょうか。

裕福でない家庭に生まれても勉強を頑張って難関校の入試に合格すれば、授業料が安くなるというのが「貧困の連鎖」の無い平等な社会と言えるのではないでしょうか。

 

尚、中学レベルの内容を理解していない大学生をゼロにする方法としては、以下の投稿で紹介している方法が有効だと思います。興味のある方は是非ご覧ください。

理想的な教育制度とは?

 

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