ニューハーフが女子トイレを使うのは違法というルールを作ったアメリカ

      2017/03/09

アメリカのノースカロライナ州と米政府(司法省)がトランスジェンダーのトイレ使用を巡って裁判で争っている様です。
(参考:トランスジェンダーのトイレ使用、米で法廷闘争に 政府と州 日本経済新聞 2016年5月10日)

ノースカロライナ州は生まれたときの性別のトイレを使用しなければならない法律を2016年3月に成立させました。この法律に従えば、ニューハーフは男子トイレを使用しなければならなくなります。

これに対して米政府(司法省)は、性差別だとしてこの法律を無効化させるよう裁判を起こしました。これから、どちらの主張が正しいのかが裁判所で争われることになります。

アメリカの裁判の結果がどうなるにせよ、日本でもそのうち議論される可能性がある話なので、この場で問題の本質とどうすべきかについて私なりの考えを整理してみます。

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目次

トランスジェンダーとは?

トランスジェンダーとは、心の性と体の性が一致しない人たちのことを言います。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとってLGBT(性的少数者)と言い、最近ではテレビ等の報道でも良く見かける単語になっているのではないでしょうか。

なお、世の中には男性器と女性器の両方を持っているインターセックス(両性具有)という方々もいます。

そういう方々のことも配慮すると、性的少数者はLGBTIと表記すべきなのだと思います。

 

アメリカ政府とノースカロライナ州の主張

米政府はこの州が定めた法律は性差別だと主張しています。

確かに、この法律は心と体の性が一致している人たちの都合を、性的少数者の人たちに押し付けていることになっています。想像してみてください、もしあなたの心が女性で体が男性だった場合、男子トイレを使わなければならない法律は受け入れがたいものだと思います。

一方で、ノースカロライナ州は「オバマ政権は政府機関や企業に、男性が女性の更衣室やトイレ、シャワー室を使うことを容認すべきだと言っている」と主張し、米政府を批判しています。また、女性用のトイレで性的暴行事件が起きることを防ぐ狙いがあるとも言っています。

どちらの主張も納得感のある理由があるため、どうすべきかの判断はなかなか難しいものになるのではないかと思います。

どちらの主張が正しいのかを論じる前に、そもそも理想的なトイレの使い方はどういったものなのかを考え、その理想に出来るだけ近い現実的な妥協策は何なのかを整理したいと思います。

理想的なトイレの使い方とは?

本来あるべき理想的なトイレの使い方はどういったものなのでしょうか?

男性用、女性用、レズビアン用、ゲイ用、バイセクシャル用、トランスジェンダー用、インターセックス用等全ての性別に対応したトイレを作ることが理想的なのだと私は考えます。

しかし、そんなことをしていたらお金がいくらあっても足りなくなってしまいます。そこで、現実的な解決策はどのようなものなのかについて考えてみたいと思います。

現実的な解決策とは?

アメリカ政府の主張は、差別されたと感じる方々の感情をないがしろにしているというものです。一方で、ノースカロライナ州の主張は犯罪防止が理由です。

そう考えると、ノースカロライナ州の主張の方が優先順位は高いと言えるのではないでしょうか。まずは犯罪防止を優先した制度を採用し、そして予算の許す限り米政府が主張している性差別を無くす設備を整えるというのが現実的な解決策なのではないでしょうか。

解決策の具体案

一番お金がかからない解決策としては、女子トイレには体が女性の人、もしくは外科手術によって女性の体となった人が使用できるようにし、男性用トイレをその他の人が使用するという方法が考えられます。

性犯罪の被害者は女性の方が多い点、肉体的にも男性の方が力が強い点から、女性用トイレを使える人を制限するのは理にかなっていると言えます。

予算が許すならば、この案を採用しつつ、車椅子や体の不自由な人が使用するために作られている個室を、性的少数者の人も使える制度に変え、全てのトイレに女性用、その他の人用、個室の3種類の設置を義務付けるという方法も考えられます。

区別と差別は違う

ここで注意したいのは、行きすぎた平等主義は良くないということです。

女性限定のまんが喫茶、映画館のレディースデイ等は良い例かと思います。民間企業は儲けることが目的なので、客を選んで儲けるのは自然なことであり、これを差別だとして法律で規制すべきではありません。

先ほど述べた解決策の具体案も、公共施設のトイレに限って適用すべきであり、民間企業が運営している建物のトイレには適用すべきでないと私は考えます。

トイレの使用を巡ったアメリカの裁判について、これから議論が続いていきます。その動きを受けて、日本でも規制を設けるべきかどうかの議論がされるようになると思います。この投稿では、可能な限り中立の立場で現実的な落としどころを提案しているつもりです。日本でそういった議論がなされる際に、考え方の参考として頂ければと思っています。

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