宮崎元議員は何故不倫をきっかけに議員を辞めたのか?
2020/09/24
2016年2月、育休宣言をしていた宮崎謙介元衆議院議員が辞職願を提出し、それが受理されることとなりました。辞職の原因は宮崎氏の不倫が明るみになったことです。
宮崎氏をめぐる一連の騒動については論点がいくつかあると思うのですが、「育児休暇を取って不倫するのはけしからん」という感情論で簡単に報じられているように感じるため、この投稿で問題の論点を整理してみたいと思います。
論点としては以下の3つに分けられると思います。
(1) 国会議員が育児休暇を取ることは許されるのか?
(2) 不倫は何故やってはいけないのか?
(3) 育児休暇を取って不倫するのは許せないと感じるのは何故か?
(1)については別の投稿で整理しているので、こちらをご覧下さい。
(3)についてはどうでしょうか。これは育児休暇を取ること自体が問題なのかどうかという論点と、不倫するのが問題なのかどうかという論点と、育児休暇を活用して不倫をしてよいのかという論点の3つに分解できます。
個人的には、国会議員が育児休暇を取るべきではないと私は考えていますが、ここで論じたいテーマではないので、とりあえず育児休暇を取得すること自体は問題がないという前提で話を進めます。
不倫するのは問題なのかどうかという点は、(2)の論点で詳しく見ていきたいので、ここではとりあえず不倫は悪いことという前提をおきます。
このような前提をおくと、(3)は「悪いことをするために育児休暇をとるのは問題か?」という議論になります。休暇中に育児を全うできていれば、育児の合間に何をしようとも休暇を取っている目的を果たしているので問題ないと考えるのが自然だと思います。
つまり、「(3)育児休暇を取って不倫するのは許せない」と思うのは論理的な説明ではなく、感情的に責めているのだと私は考えます。
最後に、「(2)不倫は何故やってはいけないのか?」について、考察していきます。
目次
不倫は悪いこと!?
宮崎元議員に限らず、矢口真里、ベッキー、乙武氏等不倫や浮気についての報道は連日のようにテレビや雑誌で取り上げられています。何となく不倫って良くないよねという感覚を皆さん持っていると思いますし、私もそう思います。
法律でも、夫が不倫をするとその妻は不倫をしている相手の女性に損害賠償を請求できる定めがあります。一方で、夫婦ではなく彼氏が二股をかけた場合には、その彼女が二股をかけた相手の女性に対して損害賠償を請求できる定めはありません。
少なくとも法律上は、独身の間は自由恋愛に任せているようです。一方で、結婚したら恋愛(不倫)は悪いことと定めているようです。
一夫多妻の国もある
多くの国々では一夫一婦制をとっていますが、世の中には一夫多妻の制度を取っている国もあります。また、あまり聞き慣れませんが一妻多夫や多夫多妻という制度の国もあるようです。
これら4通りの方法があるにも関わらず、何故今の日本では一夫一婦制を取っているのでしょうか?
理想的な夫婦のあり方を考える判断基準とは?
では、何を基準にして本来あるべき理想的な夫婦のあり方を考えたら良いのでしょうか?
それは、「生まれてくる子供を育てるのに理想的な家庭環境は何なのか」を基準として考えれば良いと私は思います。
そもそも国が結婚制度を定めているのは、生まれてくる子供がより良い環境で育つように支援し、子供が育つことで国が発展していくという考えに基づいているのだと思われます。その支援のやり方として結婚という制度を作り、夫婦になれば税金を安くしたりするメリットが受けられるようになっているのではないでしょうか。
もし子供の育成支援が結婚制度の目的でないならば、そもそも結婚制度を手間暇かけてまで作る必要がありません。恋人同士が同じ家に住みそこで子供を生んで育てるだけであれば、役所に婚姻届を提出しなくても出来ます。
繰り返しになりますが、国が結婚制度を定めているのは子供の育成支援だと私は考えます。
子供を育てるのに理想的な夫婦の形態とは?
では、今の日本で子育てをするのにもっとも適した夫婦の形態は4つのうちどれなのでしょうか?それぞれについて、メリットとデメリットを考えていきたいと思います。
一夫一婦制のメリットとデメリット
この制度は多くの国で採用されている制度で、男性一人と女性一人が結婚できる制度です。
この制度のメリットとしては、子供が生まれた時に自分達の子供であるという責任感が両親に生じるので、子育てに力を注ぐインセンティブが働く点が挙げられます。
この制度のデメリットとしては、病気や事故等で親のどちらかが亡くなったり働けなくなったりした場合に、子育てがとても大変になってしまう点が挙げられます。
今の日本は、世界各国と比べて治安が良く、戦争で亡くなるリスクも低く、社会保障制度も充実しているため、このデメリットはそれほど大きいものでは無いと思われます。
一夫多妻制のメリットとデメリット
夫一人が何人もの女性を妻とすることができるのがこの制度です。
メリットとしては、魅力的な男性や経済力のある男性が、多くの子供をもうけることが出来るため、優れた遺伝子を残せるという点が挙げられます。
また、子供の親が三人以上いるので一人が病気や怪我で亡くなったり働けなくなったりしたとしても、残された親たちが助け合って子育できるというメリットがあります。
デメリットとしては、結婚できない男性が増えることになり、結婚できないことに不満をもった男性が増えてしまうと、治安の悪化を招いてしまうリスクをはらんでいる点が挙げられます。
また、男性が何人とでも国際結婚出来るため、日本での不法滞在の裏口を作ってしまうリスクも考えられます。
男性には複数の女性を妻とする権利があるのに対し、女性にはそれが認められていないため、女性が男女不平等と感じてしまう点もデメリットとして考えられます。
一妻多夫制のメリットとデメリット
女性が何人もの男性を夫とすることが出来るのがこの制度です。基本的には一夫多妻制と同様のメリットとデメリットが考えられます。
複数の男性が家計を支える事が出来るため、この制度は経済的に貧しい国が採用するのに適しているものと思われます。
多夫多妻制のメリットとデメリット
男女共に複数の人と結婚できるのがこの制度です。
メリットとしては、誰かが病気や怪我で亡くなったり働けなくなったりしたとしても、親同士で助け合える点が挙げられます。
一方で、デメリットとしては、夫婦の和が広がっていくと日本国民全員が家族となってしまい、結婚制度そのものが意味を成さなくなります。ただし、この点については夫婦となれる数を男女あわせて6人までといったように数の上限を設ければ解決出来ます。
また、産みの母親が一人でも父親は複数いるため、子供を育てる責任感が一夫一婦制と比べて薄くなってしまう点もデメリットとして挙げられます。
理想的な夫婦の形態は?
結局のところ、どの制度を取るのが子供を育てる上でベストな方法なのでしょうか?これは、国の状況に応じて異なるものだと思います。
戦争が頻発しているような国であれば、男性の数の方が女性よりも少なくなるため一夫多妻制が適しているのではないかと思います。
経済的に貧しい国であれば、一妻多夫や多夫多妻が適しているのではないでしょうか。
日本は医療制度が発達しているため若いうちに病死するリスクが低く、治安も良いため戦死のリスクも低いです。さらに経済的にも豊かで社会保障制度が充実しているため、片方の親が無くなったとしても子供を育てることは可能な状況です。
このような状況からすると、今の日本では一夫一婦制のデメリットがそれほど大きくなく、メリットが際立つため最も適した制度だと思います。
「(2)不倫は何故やっては行けないのか?」の結論
一夫一婦制が今の日本では最適な制度だということが分かりました。では、不倫は何故世の中でこれほど非難されているのでしょうか?それは、これまで私たちが「常識」だと思っているからではないでしょうか?
「一人の人と付き合うのが常識であり、一度に複数の人と付き合うのは誠実でない」という環境で育ってきたからではないでしょうか?
何故一度に複数の人と付き合うのは誠実ではないのでしょうか?
皆が複数の人と付き合うのが当たり前の世の中であれば、一度に複数の人と付き合うことが誠実でないとは感じないと思います。一人の人を独占したいと考える方が相手を束縛していることになり不誠実であるという考え方だってできます。
「一度に一人の人と付き合うべき」ということを論理立てて説明することは不可能であり、これは感情論だと私は考えます。つまり、不倫は国の発展のためにはしてはいけないことだが、誠実かどうかという点は主観的な話であり、倫理的に問題があるとして責められるべき話ではないと考えられます。
宮崎元議員が不倫の件で負うべき責任とは?
このように考えると、宮崎元議員の不倫は一夫一婦の制度を採用している趣旨(=子供を育てる環境として最適)に反していることになります。もう少し分かりやすく説明すると次のようになります。
宮崎元議員が不倫したせいで不倫相手を狙っていた男性が結婚できず、それをきっかけとしてその男性が人生に不満を持つようになる。人生に不満を持つようになると、犯罪に手を染める危険性が高まり、それが治安の悪化につながる。そのため、子供を育てる環境を悪くしている。
このような理由で宮崎元議員は一夫一婦の制度を採用している趣旨に反しているという意味です。このような考え方をする人はあまりいないのではないでしょうか。
しかし、宮崎元議員のように不倫をする人が大勢出てくれば、一夫多妻制のデメリットで述べたように、社会への悪影響は大いに考えられます。
人生に不満を持った人が、社会全体に不満を持ち、犯罪に手を染めるというのはよくある話です。通り魔事件などが良い例かと思います。
宮崎元議員を国民が責めるとすればこの観点だと思います。そして、責められるべき金額は家庭を持つことで得られる税金の優遇程度の話だと考えます。
言い換えると、宮崎元議員は不倫を理由に議員を辞める必要は無かったと私は考えます。このことを証明するのに、一つ面白いアイデアがあります。ご興味のある方は是非以下の投稿をご覧ください。
宮崎元議員の一連の騒動について思うこと
育児休暇を取って不倫をしていたことについて、私は次の様に考えます。
- 国会議員として育児休暇を広めるために出来ることは沢山ある。それをせずに育児休暇を取る判断をすることは国会議員としてふさわしくない(これは宮崎元議員の育児休暇についてで考察しています)
- 不倫は夫婦の問題であり第三者がとやかく言う話ではない。一方で、国が一夫一婦制を採用している主旨に反しているため、扶養控除等で優遇されていた税金は国に追加で納める責任を負っている
- 不倫をしているからといって、国会議員の資質が無いとは言えない
不倫騒動は頻繁に世の中で報じられています。赤の他人が不倫をして問題となるのは、税金等の優遇程度の話だと思います。結局は家族内の問題です。
記者の方々へ
記者の方々は優秀な方ばかりだと思います。文章を書くにはそれに見合った知識や教養が必要だからです。そういった優秀な人たちがこのような家族内の問題に過ぎない不倫騒動の記事を書くことに時間を費やすのはもったいないと私は思います。
日本にはもっともっと追求すべき問題が沢山あります。そして、海外に目を向ければ、テロや貧困も深刻な問題ですし、日本も戦争から無縁ではいられなくなってきています。このような世界情勢についても、日本のマスコミで報じられる量は少な過ぎると思います。
私はこの投稿を通じて、売れる記事を書くことから、社会的意義のある記事に多くの時間を費やすように記者の方々がなってくれればと願っています。
そのためには記者の方々の意識が変わるだけでなく、読者である私たちも社会的意義のある記事にもっと興味を持ち、そういった記事や雑誌にお金を払うようにならなければなりません。
そのためにも、様々なテーマをこのブログで取り上げて、社会的意義のあるテーマを身近に感じられるような投稿を続けていきたいと思います。