舛添都知事に残された選択肢

      2017/03/09

2016年6月10日、舛添都知事が政治資金の私的流用疑惑に関する記者会見を開きました。

連日のように報道がなされていますが、どうするのが一番良い解決策なのでしょうか?

 

目次

都民の願いと舛添氏の願い

まず、都民の願いと舛添氏の願いはどうなっているのかについて考えてみたいと思います。私の推測は以下の通りです。

都民の願い

  • これ以上税金の無駄遣いをして欲しくない
  • 税金を無駄遣いした舛添氏は何かしらの償いを受けるべき

舛添氏の願い

  • 政治生命が絶たれることは避けたい
  • 可能な限りお金を稼ぎたい

そこで、舛添都知事が取れる選択肢はどういったものがあり、「かかるコスト」、「都民の願いがどの程度受け入れられたか(都民の満足度)」、「舛添氏の願いがどの程度受け入れられたか(舛添氏の満足度)」を比較していきたいと思います。

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今後取りうる選択肢

今後取りうる選択肢は、以下の3つが考えられます。

(1)舛添氏が知事を辞める場合

(2)舛添氏が知事を続け、給料を減額する場合

(3)舛添氏が知事を続け、給料は現状を維持する場合

 

(1)舛添氏が知事を辞める場合

「かかるコスト」

まず、選挙費用ですが、(2)や(3)の場合と比べると、約25億円が追加でかかります。報道では、選挙費用は約50億円かかると言われています。都知事の任期は4年で、舛添氏の任期は2018年2月までであるため、任期満了まで二年弱残っています。

50億円の選挙費用をかけて4年間都知事を務める人を選んでいるのに、2年弱が無駄になってしまうことになります。つまり、無駄になる選挙費用は25億円という計算になります。

「都民の願いがどの程度受け入れられたか(都民の満足度)」

舛添氏が都知事を辞めることになるので、(2)や(3)に比べれば満足度は高いと思われます。

「舛添氏の願いがどの程度受け入れられたか(舛添氏の満足度)」

政治生命の観点では、(2)の給料を減額する場合との比較ではどちらが良いのかは判断が難しいところではありますが、(3)の現状維持との比較では、間違いなく辞任したほうが舛添氏にとってメリットがあると思われます。

お金を稼ぐという観点では、辞任によって批判が収まれば、その後政治家としての復活やその他のビジネスもやりやすくなりますが、批判が収まらなければお金を稼げなくなるリスクをはらんでいます。

(2)舛添氏が知事を続け、給料を減額する場合

「かかるコスト」

都知事の年収は、報道では約2,000万円と言われています。仮に、舛添氏が今後2年弱の間、無休で都知事を務めてくれれば、4,000万円の節税に繋がります。

また、無駄遣いがまた繰り返されればそれも追加でかかるコストになるという観点もありますが、これだけ多くの人からバッシングを受けていることを考えると、無駄遣いを繰り返すリスクは低いと考えられます。むしろ、新しい都知事に変わった場合の方が、また都知事の職権を乱用して税金の無駄遣いがされるリスクが高いと考えられます。

「都民の願いがどの程度受け入れられたか(都民の満足度)」

都知事の仕事は続けるため、(1)よりは満足度が低いと思います。ただし、給料を全額削減し無休で残りの2年弱を働くというケースでは、(1)のケースと同等の満足度が得られると思われます。

むしろ、無休で2年間も働けば、その働き具合によっては都民からの同情も得ることが出来る可能性もあります。給料の一部減額であれば、常に「辞任しろ」という不満が都民には付きまとうため、(1)のケース程の満足度は得られないと考えられます。

「舛添氏の願いがどの程度受け入れられたか(舛添氏の満足度)」

政治生命の観点では、(1)と比べ2年間延長できるため舛添氏にとってもメリットがあると考えられます。その2年間で良い働きをすれば、都知事の任期を終えた後も政治家として活動する望みも持てます。

お金を稼ぐという観点では、本人としては減給になるため不本意だと思われます。一方で、都知事に任期を終えて次の仕事を見据えた長期的な視点で考えると、給料を減額した方がその後お金を稼ぐ機会に恵まれると考えられます。

(3)舛添氏が知事を続け、給料は現状を維持する場合

「かかるコスト」

このケースを基準として(1)や(2)のコストを試算しているため、かかるコストは0円ということになります。

(この考え方が分かり辛いという方は、機会費用という単語をお調べください。ビジネスの世界では良く使う考え方で、日常生活にも役立つと思います)

「都民の願いがどの程度受け入れられたか(都民の満足度)」

満足度は最低水準だと考えられます。

「舛添氏の願いがどの程度受け入れられたか(舛添氏の満足度)」

政治生命やお金の両面で、2年間は満足度が高いと思います。

舛添氏は現在67歳です。舛添氏が都知事の任期を終える頃には69歳になります。一般企業では既に退職している年齢です。仮に、舛添氏がその後仕事をせずのんびりと老後を楽しむ生活をするという考えであれば、お金の面ではこの選択肢が一番望ましいということになります。

任期満了後も政治活動等を続けられる場合は、世の中からの批判を浴びている状況であるため、良い選択肢とは考えられません。

最善の選択肢は?

以上をまとめると、おおよそ以下のようなイメージになるかと思います。

かかるコスト 都民の満足度 舛添氏の満足度
(1)舛添氏が知事を辞める場合 25億円が無駄になる 短期的には×

長期的には△~○

(2)舛添氏が知事を続け、給料を減額する場合 最大で4,000万円の節税が可能 短期的には△

長期的には△~○

(3)舛添氏が知事を続け、給料は現状を維持する場合 0円 × 短期的には○

長期的には×

私が考える最善の選択肢は、「(2)舛添氏が知事を続け、給料を減額する場合」と考えます。その中でも、舛添氏が無給で知事の仕事を続けるというものがベストだと考えます。

私の知る限りでは、無給で働いた知事の前例を聞いたことがありません。もし、このような決断をすれば、舛添氏は汚名返上することが出来るだけでなく、もしかすると騒動以前よりも高い評価を都民から得られるかもしれません。

一方、都民からすれば、選択肢の中で一番コストがかからない方法であり、辞任と同様の制裁(給料がもらえない)が舛添氏に下るため、感情論としてもそれ程悪い選択肢ではないと思われます。

つまり、舛添氏と都民の両方にとってメリットのある選択肢だと考えられます。

給料を半分にする案の妥当性は?

既に舛添氏は給料を半額にする案を提示しているようです。任期が2年弱残っており、年収は2,000万円程度と言われていますので、給料を半分にした場合、これは実質的に都へ2,000万円を返済していることになります。

この返済金額で十分なのかどうかは、「違法ではないが一部不適切な政治資金の使い方」をされた金額が合計でいくらなのかが分からないことには判断できません。

都議会で舛添氏の責任追及をする立場にある方々(都議の方々)は、この観点をひとつ取り入れて頂いて適切な減給額を議論されるのも一案だと思います。

舛添氏の立場で考えると無給が最適だと思いますが、都議の立場からすると、無駄遣いを賄う金額を給料から減額するという責任追及をすることが本来果たすべき責務だと思います。

(更新情報:その後舛添氏は無給で働く案を提示したものの、都議会議員から賛同が得られず知事を辞職することとなりました)

マスコミの方にお願いしたいこと

今後、同様な騒動が起きるのを防ぐために、私は以下のことを知りたいです。是非マスコミの方々には記事のテーマとして取り上げて頂きたいと考えています。

  • 都知事が優秀かどうかはどういった観点で判断すればよいのか?
  • 舛添氏がこれまで無駄遣いしてきたと言われている金額の合計

報道では、舛添氏は都知事として優秀であり、辞任しても他に適任がいないという記事を見かけます。そこで、都知事として優秀というのは、どういったところを見れば良いのか、都知事はどういった仕事をすることが期待されているのか等について色々な事例を交えて解説して頂けると有り難いです。

例えば、過去に都知事や県知事で能力がないと言われた人はどういったところがだめだったのか、仮に能力がある人が知事を務めていれば、どのような効果が期待できたのか、舛添氏はどの点が優れているのかといった点を知りたいです。今後の知事選挙で大いに参考になると思います。

また、これまで舛添氏が無駄遣いしてきたと言われている金額の合計も知りたいです。既に使ってしまった税金を取り戻すことは出来ませんが、今後知事を目指される方々が、違法ではないが一部不適切な政治資金の使い方をすると公にされてしまうと考え、無駄遣いの抑止力になると考えられます。

知事の職務上の役割として、どうしても都や県のルールで資金使途を細かく定めることは難しいと考えます。その穴を報道という力で埋めるのは、まさにジャーナリストとしての使命を果たせる場所だと考えます。

 - 政治

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