止める人のいない大学無償化
大学無償化は日本の財政破たんを招きかねない税金の無駄遣いだと思われます。しかし、この動きをとめるインセンティブを持っている組織が、財務省以外いないと言うのが現実の様です。
この投稿では、各政党が掲げている大学無償化の政策と、無償化すべき理由をどのように説明しているのかについて整理しました。そうすることで、各党の主張が理に適っていないことを明らかにし、大学無償化に反対する運動を盛り上げることを狙っています。
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目次
大学無償化に関して各党が掲げる政策
日本維新の会、自民党、民進党がそれぞれどういった無償化の政策を掲げているのかをまず整理してみます。
日本維新の会
教育無償化法案
次の改革のための措置を政府に義務付ける(法制上の措置は3年以内を目途)。
- 義務教育のほか、幼児教育、高校・大学等の教育についても、学生、保護者等の経済状況にかかわらず、授業料を負担させないものとする
※ 授業料が一定額を超える私立学校については、支援額の上限を設ける。- 授業料以外についても、学生、保護者等の負担を出来る限り軽減するものとする
出典: 日本維新の会ウェブサイト 教育・労働・社会保障に関する法案より一部抜粋
自由民主党
自民党ホームページ上では、大学無償化を政策として掲げる説明は無い模様(2017年5月14日時点)
(参考)
意欲と能力があるにもかかわらず、経済的理由によって進学を断念せざるを得ないということがあってはなりません。高等教育について、家庭の経済状況にかかわらず、必要とする全ての子供が機会を与えられるようにしていきたい。今後とも、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。出典: 第193回国会 本会議 第2号における安倍首相の発言(2017年1月23日開催)
民進党
大学、専門学校、高等専門学校、短期大学、大学院を対象とし、高等教育の質の確保・向上を前提に、原則として、国立、公立、私立の全ての学生等を対象に国立大学校の入学金、授業料相当分を減免することを目指し、段階的に進めます。
希望者すべてに無利子奨学金を提供するとともに、学生等の生活の安定を図るための給付型奨学金を拡充します。」
出典: 民進党の経済政策「人への投資」
マスメディアでは自民党も大学無償化を掲げている様に報道されていますが、自民党のホームページでは明確な説明を見つけることが出来ませんでした。
大学無償化を支持する根拠
では、各政党は何故大学無無償化を掲げているのでしょうか。
日本維新の会
大学を無償化する根拠についての説明は無い
自由民主党
そもそもホームページ上で大学無償化を掲げていないため、無償化する合理性についても説明されていない
民進党
国立教育政策研究所が行った研究を引用し、大学にかかる全費用を税金で負担すれば、その学生が将来働いて稼いでくれるおかげで2.4倍の税収が期待できると説明
出典: 民進党の経済政策「人への投資」
民進党が根拠として掲げている研究を調べてみると、大卒者の給料は高卒者の給料よりも高いと言っているにすぎない研究であり、大学無償化の論拠にはなり得ません。詳細は別の投稿で説明していますので、興味のある方は是非こちらをご覧ください。
以上のことから、どの党も大学を無償化すべきという根拠は示せていません。このように、合理性の無い政策であるにもかかわらず、多くの政党が大学無償化へ向けて突き進んでいるのは何故でしょうか。
大学無償化を止める人がいない!
与党も野党も大学無償化は国民受けが良く、これを実現するインセンティブがある状況となっています。そのため、票稼ぎのために導入に躍起になっているように感じます。
さらに、官僚側の立場を鑑みると、文部科学省としては大学が無償化され予算が多く配分されるようになれば自分たちの天下り先が増えるメリットがあります。
学者の立場としても、大学無償化が実現すればそこで働いている教授たちの職場が守られることになります。
つまり、大学無償化については、政治家、官僚、学者のどの立場においても反対するインセンティブが無い状況になっています。
大学全入時代と呼ばれる昨今、学校の選り好みさえしなければ誰でも入学することができます。さらに、入学さえすれば在学中に殆ど勉強しなくても卒業ができる仕組みになっています。難関校でさえも同様の状況であり、入学さえ出来れば、卒業はそれ程難しくありません。
このような状況の大学を無償化してしまえば、税金の無駄遣いとなることは明らかです。そして、そのような税金の無駄遣いを毎年数兆円規模で実施してしまうと、日本の財政が破たんする可能性がとても高まります。
高齢化が進み社会保障費が嵩んでいる日本では、全ての大学を無償化するといった悠長なことを言っていられる状況ではありません。
大学無償化反対は名声を上げるチャンス
日本の将来を真剣に考えている与党の政治家の方は、是非大学無償化に反対して頂きたいと思います。これだけ多くの政治家が大学無償化になびいている中、日本の明るい未来のために勇気をもって反対すれば、政治家としての確固たる名声を築くことができると私は信じています。
日本共産党をはじめとする野党の方々は、議席を伸ばすチャンスです。大学無償化反対を唱えれば、日本の将来を案じる若者からの支持を得られる可能性が高いです。「日本の将来を考えたとき、短絡的な大学無償化は国益を損ねる」という正当なロジックを掲げれば、自分たちの党の信条と矛盾しないはずです。
記者クラブに所属していないフリージャーナリストの方々は、ご自身の記者としての名声をあげる良い機会だと思います。大学無償化が既定路線化しつつある現状において、「バカが税金で大学に通える」という流れを批判する記事を書いて世の中を動かすことはとても社会的意義のあることです。これはジャーナリスト冥利に尽きる活動ではないでしょうか。記者クラブに属している大手マスメディアでは政治家に対する批判的な記事を書き辛いと思われます。そのため、大学無償化そのものに反対する記事は競争相手が少なく、とても取り扱いやすいネタだと思います。ブルーオーシャンでありながら社会的意義のあるテーマはそれ程多く転がっていません。大学無償化が実現してしまうと、毎年約3兆円程度の税金が無駄遣いされるリスクがあります。このネタはこれから3~4年が勝負だと思います。今すぐ動けばこの道の第一人者としてのポジションを確立する可能性が大いにあります。是非挑戦してみてはいかがでしょうか。