日本銀行の仕組み ~政府の連結子会社としての日銀~
2017/03/11
日本銀行が通貨を発行した時、発行した金額の分だけ日銀は利益を計上するべきだという話を日本銀行の仕組み ~通貨発行益について~で説明しました。
別の言い方をすれば、日銀がお金を発行することは、無からお金が生み出されているということを意味します。
実は、日銀の株式は政府が55%持っています。つまり、日銀は政府の連結子会社という関係性となっています。
そこで、政府と日銀を一体と考えたときに、国債の発行から通貨発行に至る一連の流れで、どういったお金の流れになっているのかを考えてみたいと思います。
結論を先に述べると以下の通りとなります。
買いオペは国債の償還を意味し、通貨発行額は政府にとっては無から生み出される歳入となる。政府が得たこの利益は、実質的にはインフレ税として国民が負担している。
目次
政府と日銀の関係
繰り返しになりますが日銀の株式は政府が55%持っており、民間人が株を買っても議決権は行使できない制度となっています。(参考:日本銀行ウェブサイト「日本銀行を知る・楽しむ」)
そして、日銀の配当は年間500万円を上限としており、民間は45%までしか株を持てないため、日本銀行から社外に流出するお金は最大で年225万円となっています。(参考:日本銀行ウェブサイト 業務概況書3ページ目参照 )
さらに、日銀は国債などを購入して得られた利益を国に国庫納付金として納めています。(参考:日本銀行ウェブサイト 教えて!にちぎん)
詳しくは日本銀行の仕組み ~上場企業としての日本銀行~で説明しているので、興味のある方はこちらをご覧ください。
つまり、日銀は何千億円の利益を生み出したとしても、民間人の株主に対して最大で225万円しか利益が流出しないことを意味します。そして、日銀の利益の源泉は日本政府の支払利息であり、それが政府に対して国庫納付金として返還される仕組みとなっています。
言い換えると、政府と日銀の間でお金がぐるぐる回っているだけになっている仕組みになっています。
国債発行から国債購入/通貨発行までのお金の流れ
政府と日銀を一体とみなしたとき、国債の発行や通貨の発行に関する損益はどのようになるのでしょうか?
(つまり、政府と日銀の連結損益計算書を考えてみるということを試みています)
金利3%で100万円の国債を発行する場合を考えてみます。
一連の現金の流れは以下の通りとなります。
政府/日銀が国債100万円を発行する。これにより政府/日銀が100万円の現金を得る
↓
民間の金融機関が国債を持っている間、政府/日銀は毎年3万円の金利を支払う
↓
民間の金融機関から、政府/日銀が国債を買い取る(買いオペを行う)。買い取り代金は通貨発行で対応する。これにより、政府/日銀は現金負担を負わずに国債の償還が出来る
↓
政府/日銀が国債を買い取った後は、金利の支払いや元本の支払いは政府と日銀の内部取引となり、収支はゼロとなる
つまり、日銀が民間の金融機関から国債を買い取ると、その買い取った金額の分が政府/日銀のもうけになることを意味します。
では、どの時点で政府/日銀はお金を得ているのでしょうか?
上のお金の流れを見て頂ければわかる通り、政府が国債を発行した時点です。
政府は国債を発行し100万円を得ています。この100万円は公共事業や公務員の給料や医療費等様々な国の歳出の一部に充てられています。
つまり、国債を日銀が購入していることは、政府にとっては歳入の一部になっているということを意味します。
政府の収入(歳入)は、国民から得られる税金と国債の発行だけでなく通貨発行もあります。
歳入 = 税収 + 国債の発行 + 通貨の発行
そして、通貨の発行は国民にとってはインフレ税が課されていることを意味します。
この投稿をしているのは、こういった「隠れた増税」についてより多くの方に知ってもらいたいという思いからです。
詳しくは別の投稿でも説明しているので、興味のある方はこちらをご覧ください。